三浦春馬 間もなく一周忌と映画「太陽の子」公開なのに...『納骨』できない母親のあるわだかまり――ほか3編

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   俳優の三浦春馬(享年30)が亡くなってからもう1年が経つのか。彼の死を悼む声は、若い女性を中心にますます広がりを見せている。一周忌なる7月18日には、所属事務所だったアミューズが「追悼サイト内に特別な場所を設ける」そうだ。

   コロナ禍ということがあり、やむを得ないのだろうが、ファンたちにはもやもやしたものが残るに違いない。というのも、まだ、彼のお墓はもちろん、いまだに納骨もできていないというのである。週刊文春によれば、遺産を巡って実母と事務所側が一時対立し、さらに、今年(2021年)の1月に、春馬が幼い頃に離婚した実父が亡くなったため、遺産分割協議が終わっていないこともあり、実母によれば、「もう少し心の整理をつけるまでお時間を頂ければ......」ということのようだ。

   春馬は遺書も何も遺していなかったため、自死を選んだ理由が分からず、一時は謀殺説まで流れた。それというのも、<亡くなる前日も夜十時まで撮影に臨み、主演の松岡茉優らと話し込んでいたという。いつもと変わらない三浦春馬だった>(文春)からだが、死を感じさせる何かは、遺された日記の中に散見される。

   8月6日から公開される映画『太陽の子』で若き軍人を演じ、母親に最後の別れを告げるシーンがある。「散る運命を背負いながら、家族の前では気丈に振る舞おうとする気持ちを考えると胸が痛んだ。だがそこに共通点というか胸が痛んだ」

   この映画がクランクアップした約2か月後の昨年の正月、親しく付き合っていた会社社長と靖国神社に初詣に行ったという。いい出したのは春馬からで、資料館(遊就館)に行って、特攻隊たちの家族に宛てた手紙を見たかったそうだが、心が重くなり途中で出てきたそうだ。「毎日を大事に生きるということをすごく真摯に考えている人だと感じました」(『太陽の子』の黒崎博監督)。

   私には26歳の若さで亡くなった歌手の尾崎豊に重なるイメージがある。先の会社社長によると、春馬はカラオケで尾崎豊をよく歌ったという。尾崎豊が亡くなってから1年後、私は週刊現代で尾崎豊追悼特集を組んだことがあった。発売された日の夕方、販売から電話があり、女子高生たちに週刊現代がすごい勢いで売れていると聞かされた。尾崎はカリスマから伝説になった。三浦春馬と尾崎豊はこれからも折に触れて、語り継がれていくことだろう。

『熱海土石流』元凶の盛り土会社社長は雲隠れ!知り合いに電話で「逃げるカネ貸してほしい」

   静岡県熱海市で起きた土石流災害は、今の時点(2021年7月15日)で死者11人、行方不明者17人。先週の週刊新潮は、この大災害が「人災」ではないかと指摘したが、今週は週刊文春、週刊新潮がともにこの問題の責任がどこにあるのかを追及している。

   問題を整理すると、伊豆山地区の盛り土の責任者と見られる2つの会社がある。文春によれば、2006年に最初にこの土地を購入して造成をしたのは神奈川県小田原市にある不動産管理会社「新幹線ビルディング」だという。翌年、ここは谷地に土砂を運ぶための申請を熱海市に行ったが、<申請とは異なる開発や、産業廃棄物が投棄されていることなどが発覚。県や市から度々指導を受けていた>(文春)そうだ。

   盛り土をする場合、30~50センチの土を被せる度に土を固める作業を行うのだが、それをせずに山の上からバンバン土を落とし、さらに、ユンボなど20トン級の重機を3台くらい埋めてしまったというのである。<「プラスチック片などの産業廃棄物を入れているので、あの土地は豆腐みたいに柔らかかったんです」(造成に関わった土木関係者)>

   この時点で、なぜ県や市は指導ではなく、介入しなかったのだろう。その後、こうした問題だらけの土地ばかり漁っている人物が現れたのである。2011年に、この土地を含む約40万坪という広大な伊豆山一帯を買ったのは、麦島善光(85)という人間だそうだ。彼は、経営難の会社や二束三文の土地を買い取り、カネを生み出していくのがうまい人物で、"名古屋の錬金術師"といわれているという。

   22歳で「麦島建設」を設立し、その後「ユニホー」という不動産会社を立ち上げ、M&Aなどで事業を拡大して、「ZENホールディングス」をつくり、年間売り上げは800億円にもなるそうだ。ここは脱税、所得隠しなどで逮捕されたり追徴課税されているが、それは省略する。

   重要なのは、この2つの企業に今回の大災害について何らかの責任を問えるのかどうかということである。新潮は、いい加減な造成をした小田原市にある会社の社長を直撃している。雲隠れしているようで、知り合いのところに電話をして、「カネを貸してほしい、逃げるカネがない」といっていたという。

   当人は「逃げているわけではない」というが、友人には、「『10年前に売った土地で、それ以来、全く現場には行っていない。現在の所有者はこれまで何をしてきたのか』『盛り土があると分かっていたはずで、その証拠もある』」と、責任転嫁しているという。

   麦島のほうは、代理人の弁護士が文春に対して、被害者の方たちにはお悔やみ申し上げるが、「現時点ではそれ以上のことは申し上げられません」というだけ。

   これを読む限り、こうした悪質な業者を野放しにしてきた県や市も責任を免れることはできまい。まさに「複合人災」とでもいいたくなる今回の大災害だが、亡くなった人たちを弔うためにも、再びこうした"人災"を招かないためにも、責任の所在の徹底究明と被災者たちへの補償問題を早急にやらなければならない。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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