先週に引き続いて、「バラエティー番組」が当たると思う要素について、述べていきます。私は、長年にわたって日本テレビで「バラエティー番組」を中心に、番組制作に携わってきました。今回も、日本テレビの古立善之君の企画・演出している「世界の果てまでイッテQ!」を例にします。
「他人がやらないことをやる」というのが、(バラエティーに限らず)番組が当たる要素です。それは、1つ目に、"ニッチ"(隙間)を突くということ。誰もが見逃している"隙間"を探し出して、見つけることです。
2つ目には、"他人の真似をしない"ことが、制作者としては当然の心得です。
「イッテQ!温泉同好会」は、森三中を中心とした女芸人がメンバーとなる、「ロケーション、湯加減、効能の三拍子揃った世界一の温泉をみつけよう」という企画です。彼女たちが温泉に行って、ハチャメチャなことをやらされるのですが、それが健康的で、弾けているのです。
例えば「温泉同行会in北海道」では、温泉に入る前に、支笏湖で「寒中水泳スペシャル」と銘打って、特別に氷の上に賞金袋を設置します。のし袋には1万円、一番遠くの金の袋には3万円のボーナスという設定です。3人目までは、なんとか1万円をゲットするのですが、4人目が3万円のボーナスを、ようやく手に取ろうとした瞬間に落下して、放り投げた3万円を他の人がゲットした瞬間に、全員落下してしまいます。
思わず吹き出してしまう! 魂で伝える「出川イングリッシュ」
次に、「出川哲朗はじめてのおつかい」というコーナーについて。これは、「出川がいろいろな国に行き、番組から出されたミッションを現地の人とコミュニケーションをとりながら自力でクリアしていく」という趣旨。同じ日本テレビの「はじめてのおつかい」に名前は借りていますが、違うものです(「はじめてのおつかい」は、生まれて初めて一人で「おつかい」に挑戦する子どもたちの奮闘ぶりをドキュメントタッチで描いたもの)。
出川は、ヒアリング能力・再生能力が異常に低く、現地の人に魂で伝える英語を駆使して、いかにミッションをクリアするかが見所です。番組内では、出川が喋る独特な英語は「出川イングリッシュ」と呼ばれ、テロップ表示されます。追い込まれた出川が、必死で操る「出川イングリッシュ」には、思わず吹き出してしまいますし、なんとか、ミッションをクリアした時には、ほのぼのとした温かさを感じます。
「他人がやらないことをやる」という原則を「世界の果てまでイッテQ!」という番組は、満たしているのです。