「ここスゴッ!発明」のコーナーでMCの夏目三久が紹介したのは最新の技術で養殖魚を育てている大分・佐伯市の「東和水産」。「ある特別な方法でヒラメを育てていて、それはある色の光を当てるのですが、何色だと思いますか?」とスタジオに問いかけた。答えは「緑色」。東和水産では、緑の光を当てて養殖を行っている。
緑の光を当てたヒラメは水槽の底をグルグル動き回っており、餌をまくと飛び跳ねる勢いで元気にえさを食べている。一方、普通のライトで養殖されているヒラメは水槽の底でジッとしており、餌をまいても反応は少ない。
夏目は「実は、緑の光を照らしたヒラメは活発に動いて、エサを良く食べるんです」と言う。緑糸の光を当てたヒラメは、平均して1.6倍の早さで成長するため、通常は出荷まで1年かかっていたものが9か月にまで短縮できるという。
この技術を開発した北里大学海洋生命科学部の高橋明義教授によると、「ヒラメの生息しているところの光と合っているため、活発になるのではないかと推測できます」と話す。実は、海の中では深さによって届く光の色が違う。浅瀬では赤い光が、ヒラメが生息する深さ数十メートル付近では緑色の光が、それ以上深いと青い光が届いているのだ。
ヒラメの食欲もAIが自動制御
高橋教授は「ヒラメ養殖のコストが下がれば、スーパーなどに安く出回ることもあるのではないかと考えています」と話す。
魚のエサの養殖革命を起こした企業もある。養殖では魚に与えるエサの約2割が食べ残しとなり海を汚染する原因になっていた。東京・五反田の企業はAI(人工知能)搭載の自動エサやり装置「ウミトロンセル」を開発。AIが魚の食欲を解析し、エサの量やタイミングを自動制御するという。これにより、海のごみが削減可能になった。さらに便利な点は、スマートフォンなどで魚の様子を見ながら遠隔でエサやりができること。養殖業者は毎日養殖場に行きエサを与えなければならないため、365日休むことができなかった。しかし「ウミトロンセル」を使用することで労働環境が改善される。
夏目は「若者や女性などが養殖業に新規参入し、産業の発展につながるのではないかと期待されています」と紹介し、「フグ、サーモン、ブリなどでも光を工夫した養殖の研究が進められています。高級魚のクエは深い場所で生息しているので、青い光を当てて育てれば、安く食べられる日が来るのではないかということでした」と目を輝かせた。
(バルバス)