盛り土造成でもなかった熱海の土石流!産廃捨て場にしていた悪質業者――歩くとズブズブ足が沈む土地だった
7月3日(2021年)に発生した熱海の土石流災害は、東日本大震災の津波のような激しさで人家を押し流し、貴い人命が失われてしまった。テレビで何度も映し出される逢初川の上流にある造成地の「盛り土(もりど)」は、まるで巨大な恐竜か何かによって切り裂かれたように見える。
盛り土というのは建築工法の言葉で、外から運んできた土砂などを用いて、傾斜地を平らに造成することをいうそうだ。テレビを見た者の多くは、この巨大な盛り土を造った人間なり企業なりの責任はどうなるのかと思ったはずである。テレビに出てくる専門家と称する人たちや、熱海市、静岡県の責任者たちの話を聞いても、ハッキリしたことはいわず、モヤモヤが残った。
だが、週刊新潮はこの災害は「人災」だと言い切っている。まず、砂防工学の東京農工大・石川芳治名誉教授は、全ての盛り土が危険ではないと前置きして、日本は雨が多いので、盛り土の中に排水パイプを整備したり、造成段階で数十センチごとに層をつくって締め固めるなど、きちんとした基準に沿ってつくれば安全なのだが、しっかりつくろうとすれば費用も手間もかかるために、手を抜く業者がいてもおかしくないと話している。
崩落現場の近くに住む住民は、盛り土を踏むと足がズブズブっと沈むところがあった、木も生えず草も枯れていて、除草剤を撒いたのかと思うほど、栄養のよくない土壌だと思っていたと語っている。ここは、2007年に当時の土地所有者である民間企業が、熱海市役所に「残土処理」の名目で届を出し、11年に現在の所有者に転売された。だが、熱海市は、詳しい内容は把握していない、どこまで市が盛り土を管理する義務があったのかは、現在検証中だと歯切れが悪いのは、責任を追及されたくないからであろう。
新潮が行ってみると、崩壊した場所の先には太陽光発電所が建設されているというのだ。<斜面の木々を伐採してソーラーパネルを設置すれば、樹木の根が張ることで維持されてきた山の保水力が低下。災害リスクが高まるのは素人でも分かりそうなものだ>(週刊新潮)
運営者は東京にある民間会社。そこの代理人の弁護士は、「盛り土が出来上がった後に購入したわけですから、欠陥のある土地を売りつけられたのならば、前所有者の責任を追及しないといけないかもしれない」と責任転嫁。盛り土を造成した前の所有者の「家人と思しき女性」(週刊新潮)が、造成した業者は開発に着手したけど、産廃の捨て場にした挙句、転売したと聞いたと、こちらも責任は自分たちにはないといい張る。
これだけの大災害を起こしたのだから、市も県も国も、徹底した原因解明と責任の追及、賠償をさせなければ、亡くなった人たちに顔向けができまい。