熱海市伊豆山の土石流災害では、「午後には雨もピークを超える」という気象情報に基づき、熱海市は厳重警戒にあたる「緊急安全確保」を災害発生以前には出さなかった。住民はどうすればよかったのか? 5日(2021年7月)のスッキリは、「行政の限界」と「避難の判断」を考えた。
「コミュニティをどう再構築していくか」
当時の雨の状況は、3日(土)19時現在の累計が487ミリ。平年の1カ月(7月網代)の242.5ミリの2倍を上回った。気象庁は、2日朝に大雨警報、同朝10時に「高齢者等避難」(レベル3)、その直後に土砂災害警戒情報を出した。土石流が発生したのは3日朝10時30分ころだったが、最大警戒レベルの「緊急安全確保」が現場に発令されたのはその後の、同11時のことだった。午後には、雨が弱まるとの予報も出されていた。
三重大学の堤大三教授(砂防工学)は、「短時間で大量の雨が降る場合は、一般の方もその危険を理解しやすいのですが、今回のように、継続的に降る場合には危険認識を持ちにくい場合があるので、そこは今回難しいところだったんじゃないかと思います」。
コメンテーターの近藤サト・元アナ「やっぱり、自分たちで予測するのは難しい。でも、仕方なかったというのは許されない。命が失われているわけだから。今までの災害もそうなんですが、行政主体の防災の限界がきている。(現実は)行政の判断も超えてくるので、私たちが個人的にどうしたらいいのか、を考えていくと、やはり横のつながりと言うか、コミュニティですよね。高齢者をどう助けるか、などを考えると、コミュニティをどう再構築していくか、を考えなくては」。
安否確認でも混乱続く
被害に遭った伊豆山地区では、避難所などでの安否確認でも、混乱が続いている。
3日朝現在の死者は3人、安否不明は約20人とされている。一方で、住民基本台帳に登録されている215人では、102人が確認されたが、残りの113人は連絡先を順次確認しているという。「安否不明」とは、具体的に所在が確認できないと、届け出があった人たちで、これとは別に、登録者は、普段から住んでいない人や、親せき宅などに独自に避難した人たちもふくまれている、という。
5日朝の番組リポーターの現地からの報告によると、「兄の行方が分からない、と言う人に聞いたが、避難所に連絡をして名前を言って確認を求めたが、どこにいるかわからない、だれが把握しているのかもわからない、と(の状況だった)」。
(栄)