ワクチンの供給不足の影響が全国に広がっている。MCの夏目三久は「大阪市の松井一郎市長は集団接種会場や個別接種などでのワクチン供給が見通せないことから、1回目の予約受付をいったん中止する方針を示しました。そして、三重県四日市市でも急遽、高齢者への集団接種の予約を手中止しました。供給が遅れた自治体からは、困惑の声が上がっています」と2日(2021年7月)、紹介した。
四日市市の森智広市長は「今、供給が厳しい状況になっている。国にはすごく憤りを感じている」と怒りを露にした。四日市市では来月までに約5万5000人への接種を計画していたがワクチン供給が半分にも満たないことが判明し、高齢者の集団接種の新規予約受け付けを中止した。
ワクチン供給量減で集団接種会場を減らす
ほかにも、岐阜県・各務原市では接種を早めるため2カ所だった集団接種会場を8カ所に増設したが、供給量が減ったため、2会場に減らした。さらに大阪市では集団接種会場や個別接種で1回目の予約受付を一旦中止する方針を示した。松井一郎市長は「1度目を止めることによって、2度目が打てないという状況にならないようにしたい」と話した。
自治体だけではなく、職域接種にも困惑が広がっている。不動産ハウスメーカーのサーティーフォーでは6月18日に1600人規模の職場接種を申請したが、国からの承認はまだ下りていない。河野太郎行革相は「すでに承認済みになっているものを枠が空いているところに入れていきたい。承認待ちになっているものをその後に足していく」と話すが、サーティーフォーでの職域接種は8月以降に大幅にずれ込む見通しだ。
ここで問題になるのが、職場接種の要件の一つである「最低でも1000人」という縛り。サーティーフォーの社長は「その時期にずれ込むと、自治体などでの接種がある程度打ち終わってくると思うので、希望者が1000人を切る場合もある」と心配する。国の担当者によると「ワクチン接種実施前で1000人を切った場合は職域接種の対象にならない。その場合は取り下げをお願いする」という。サーティーフォーの社長は「国の都合で遅れるわけですから、本来はそのまま打たせるべき」と話している。
夏目三久「つまり、同じワクチンを2回打つより...」
そうした事情の中、「政府は60歳以上にアストラゼネカ製の接種を認める方向で調整しています」と夏目が言う。
海外、特に欧州ではアストラゼネカ製のワクチンを使って1回目と2目で違うワクチンを打つ「交差接種」が実施されている。韓国でも1回目にアストラゼネカ、2回目にファイザーを打つ交差接種が行われる予定だという。
英オックスフォード大などの研究チームが交差接種の免疫効果を調査している。これによると、「抗体反応」について最も反応が高かったのが、1回目がファイザーで2回目もファイザー、2番目がアストラゼネカ→ファイザー、3番目はファイザー→アストラゼネカ、4番目はアストラゼネカ→アストラゼネカだった。また、「免疫効果」については、1回目がアストラゼネカで2回目にファイザーが一番高く、次いでファイザー→アストラゼネカ、3番目がファイザー→ファイザーで、4番目はアストラゼネカ→アストラゼネカだった。
夏目は「つまり、同じワクチンを2回打つより、交差接種のほうが免疫反応は高くなるということです。加藤官房長官は『交差接種の実施については、まだ有効性や安全性について積極的に推奨する状況にない』ということです」とコメントした。
(バルバス)