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止まらない雑誌販売部数減の中で...あの通販誌だけは空前絶後の一人勝ち!間もなく日本一になりそう

   出版物の部数を公査(監査)し、発表・認定している機構「日本ABC協会」の雑誌販売部数(2020年7~12月発売号)が出たので紹介しよう。『家の光』が1位で約46万部だが、2位の『ハルメク』がすごい伸びである。約37万部で前年同期比が122.42%。このままいくと1位もあり得る。通販雑誌でこの部数は空前絶後であろう。大出版社ではできないことを見事にやってのけた。

   3位が『週刊文春』だが、こちらは約27万部で同95.96%。いくらスクープを飛ばしても部数は減り続けているデジタルで儲かっているとはいえ、一抹の寂しさが漂う。新谷学が編集長に就いた文藝春秋も約20万部、同95.96%。売れるのは芥川賞の受賞作が載った号だけというのがやはり寂しい。

   私の古巣の週刊現代が、意外といっては失礼だが、頑張っている。といっても約20万部、同99.42%。かろうじて20万部を維持しているが、部数増への光は見えてきてはいない。遺言の書き方、いい死に方だけでは、現状の部数維持はできるが、それだけであろう。

   新聞社系の週刊誌の部数の少なさを高みの見物していた時代もあったが、しばらくするとそれに並ぶ部数になってしまうかもしれない。その兆しが週刊新潮と週刊ポストにある。ともに約16万部、新潮が同83.44%、ポストが同84.18%と大幅減である。見えているのは20万部ではなく10万部をいつ切るかということのようである。

   『週刊大衆』は新潮とポストの背中が見えてきた。約9万部で、同107.10%。『週刊プレイボーイ』が約8万部で同108.54%、『フライデー』も約8万部で同99.79%。『週刊朝日』が約6万部で同86.69%だから、もう一息で、朝日に並ぶかもしれない。月刊誌では『プレジデント』の落ち込みが目立つ。約11万部で同82.91%。誌面に菅首相の応援団執筆者が多くなったことが、嫌われている理由ではないのか。

   今回の特徴としては、コロナ禍で巣ごもりする機会が多くなったためか、『ザテレビジョン』『TVガイド』など、一時は部数減に歯止めがかからなかったテレビ誌にやや活気が出てきたことか。まあ、ハルメクの一人勝ちだが、他の大手出版社も手をこまねいていないで、何か考えるべきだと思う。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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