<朝ドラ、今週の山場は?> 病気のジャズ喫茶マスター、田中知久(塚本晋也)から別れた家族と再会したいという話を聞き、力になりたいと医師の菅波光太朗(坂口健太郎)に相談する百音(清原果耶)。菅波は感情的になって大声を出す。百音、半泣き。ネットでは「男の人は女の子に怒鳴っちゃダメ。大声は怖い!」との声も出た。
6月24日(2021年)の放送で気になったシーンは、この翌日に冷静に戻った菅波先生が田中に会いに行った際のやりとり。「迷う時間を作るための積極治療」を提案したのだが、この考え方にたどり着くまで、どれほど熟考したのだろうか。徹夜か?菅波先生だって若い。百音に向かって怒鳴り散らしたことだって頭をかきむしるくらい気になっていたはず。
「本心なんてあってないようなもの」
「本心なんてあってないようなもの。毎日言ってることが変わってもいいんだ」という結論は、田中さんへの提言でもあり、自分自身への説得だったのだろう。前日には田中さんを治すことなんて出来ないのは、自分も田中さんも知っていると言い切ったが、ほんの少しの延命を考え抜いてきた。そこには辛い自分の過去も重ねなって苦しかったかもしれない。
迷いの渦のなかから、自分の生き方や死に方、人生の真実や結論なんて出やしない。自分の本心なんて、自分さえもよくわからないのが本音だ。「人間の気持ちなんてそんなもんです」と菅波先生。そのための「時間づくり」に協力するという考え方には共感できる。百音には伝わったかな。
最後にもうひとつ興味が湧いてきたのは、田中さんの家族。テーブルを再度作って欲しいとも百音に依頼した田中さん、生きる力も湧いてきて、いよいよ家族との再会を果たせるか。