東京オリンピック出場を決めた内村航平と池江璃花子――テレビ報道とSNSを見て

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   東京オリンピック・パラリンピックが、コロナ等の問題がありながら、間もなく開催される予定です。私が、テレビやSNSを見ていて、感じたことを述べてみたいと思います。

   まずは、体操の内村航平選手のことです。皆さんご存じの通り、内村選手はオリンピック3大会に出場し、個人総合2連覇を含む7つのメダルを獲得しています。その彼が、練習中に負傷して、今回のオリンピックは鉄棒の単独種目に絞って代表の座をめざしていましたが、先日ようやく代表の座を獲得しました。

   私は、昨年暮れのNHKのドキュメンタリー番組で、怪我の治療に励みながらも、今回のオリンピックに、個人総合で出場するのを狙うか、鉄棒1本に絞るのか、葛藤している彼の姿を見て、ある種の感動を覚えました。今まで、世界王者の名を手にしていた彼の練習風景――失敗を繰り返しながら、悩む姿に共感しました。

  • 東京五輪とテレビの関係は
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池江璃花子のSNSへの無責任な書き込みと匿名性

   次に、水泳の池江璃花子の場合ですが、彼女も非常に有望な選手として、皆から期待を集めていたのですが、白血病と診断され、公式競技会への出場を全て取りやめて、療養生活に専念することになりました。

   白血病の治療を終え、退院した彼女は、様々な苦労を経て、東京オリンピックの400メートルリレーと、400メートルメドレーリレーの代表の座を獲得しました。池江選手のツイッターに"やめろ"とか"オリンピックに出るな"といった書き込みがあり、彼女も困りました。

   SNSは、「匿名で無責任」という批判がありますが、その通りです。池江選手に"出るな"と言っても、それは筋違いで、しかも「匿名」ということでは反論のしようもなく、議論にもならない「無責任」な書き込みです。このコーナーで、私は「テレビ」の在り方を考えましたが、「テレビ」は"責任を取る"メディアであるということです。テレビの場合では、以前もニュースの在り方を考える際に述べましたが、意見を言うにしても(もちろん「匿名」ではありません)、様々な意見を紹介して、そのうえで「私はこう思いますが、皆さんはどう思いますか」と言います。そういう意味で、「テレビ」は"責任"を取る"メディアなのです。

渡辺弘(わたなべ ひろし)
渡辺 弘(わたなべ ひろし)
1952年生まれ。東京大経済学部卒業。1976年に日本テレビに入社し、制作局CP、ドラマ制作部長として番組づくりの現場で活躍。編成局長、制作局長、取締役報道局長、常務・専務を歴任した。「マジカル頭脳パワー!!」「THE夜もヒッパレ」「「スーパーJOCKEY」「24時間テレビ」などヒット番組をプロデュースした。 現在は「情報経営イノベーション専門職大学」客員教授。映像会社「2501」顧問。
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