ニノ、そりゃマズイよ!知事は自粛要請してるのに...緊急事態宣言真っ最中に親子3人で不要不急の里帰り――ほか5編

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   ジャニーズ事務所を退所した人間は善、残った人間は悪。そんな図式が出来上がりつつあるようだ。元SMAPの草彅剛、香取慎吾、稲垣吾郎たちはメディアが挙って取り上げ、きょう買った『週刊文春WOMAN』(2021年夏号)でも、表紙に香取の画を掲載し、巻頭のグラビアで写真とインタビュー、稲垣は作家の平野啓一郎と対談をしている。

   草薙は映画『ミッドナイトスワン』で第44回日本アカデミー賞・最優秀主演男優賞を受賞と順風満帆である。公園で酔って素っ裸になったことや、交通事故を起こしてトラブったことなど、メディアは忘れ去ったかのようである。一方のキムタクのほうは、取り上げられる話題は2人娘のことばかりで、中居正広にいたってはほとんど話題にもならない。

   活動を休止した「嵐」も、取り上げられるのは私生活、それも女性問題が多いようだ。今週は二宮和也(38)の「女性問題」を週刊文春が取り上げている。といっても、二宮の妻(40)と連れ立って、彼女の実家のある秋田県秋田市に生後3か月の娘を連れて里帰りしたという話なのだが、時期がいけなかった。

   6月18日(2021年)、地元のベビー用品店で仲睦まじく買い物をしたり、妻の母校の高校を眺めている写真が何枚か載っているが、この日はまだ緊急事態宣言が出ている時で、秋田県の佐竹敬久知事が、県外との不要不急の往来は控えて、とくに東京都との往来は十分注意するようにというメッセージを出していたのだ。

   さらに、自身のYouTube『ジャにのちゃんねる』で秋田に来る前日の生放送で、後輩たちが「1泊の温泉旅行をやりたい」というのを、二宮は「今、まだ緊急事態宣言でしょう? やっぱりそれが明けないことにはできないわけだからね。旅とかはね!」と諭していたというのだ。その翌日から自分は秋田入りするというのでは、後輩たちにも示しがつくまい。

   二宮は、なぜ、自分が秋田へ行くことを文春が知ったのか、身内にスパイがいるとすれば誰だろうかと疑心暗鬼になっているのではないか。二宮や櫻井翔にいってやりたい。ジャニーズ事務所を退所すれば、君たちも"いい人"になれて、文春砲に悩まされることもなくなると。

中川・医師会長の病院「コロナ隠し」陽性患者隔離せず、熱発看護師に「PCR検査は受けないで」

   週刊文春の前編集長だった新谷学が、本誌といわれる月刊誌の文藝春秋の編集長に就任した。昔は「国民雑誌」といわれたこともあったが、部数減に歯止めがかからない。そこで彼の剛腕に期待してということだろうが、私の経験からいわせてもらえば、週刊誌と月刊誌はまったく違うものだと考えたほうがいい。拙速に答えを出そうとしないで、2,3年かけてじっくり新谷文藝春秋を作り上げてほしいと思う。

   週刊文春の凄さは、喰らいついたら絶対離さないしつこさにある。このところのターゲットは日本医師会の中川俊男会長で、彼が主催した政治資金集めのパーティ問題から、彼が目をかけている女性職員との密会などを報じてきた。今週は中川の本丸に斬り込んでいる。

   中川は1988年、36歳の若さで北海道札幌市に新さっぽろ脳神経外科病院を開業し、日本で最初に脳ドックを導入したそうだ。現在は急性期病院として病床135床を擁し、来夏にはJR札幌駅近くに30億円を投じて新ビルを造り、移転する予定だというから、彼の権勢が分かろうというものである。

   だが、そこの職員5人が文春に「中川はコロナ患者を見殺しにした」と告発したというのだ。事実だとすれば、中川会長の進退問題にまで発展するかもしれない。職員Aがいうには、5月15日に4階フロアから入院患者2人の感染が発覚したことが始まりだったという。急ぎ5人部屋の416号室に隔離したが、その3日後、そこから最も離れた407号室で1人、408号室で2人の陽性者が出た。

   Aは、416号室へ陽性者たちを移動させると思ったが、同じ部屋に留めおいたというのだ。ともに5人部屋だが、陽性者と陰性者のベッドは1メートルほどしか離れておらず、パーテーションもない。食事も歯磨きもトイレも同じところを使い、ゾーニングも不十分だったという。現場の責任者に訴えたが、保健所の指示でやっている(札幌市保健所医療対策室は一般論だといいながら、「そのような指導や助言をすることはない」といっている)、陰性の濃厚接触者はすぐ陽性に変わると見なして対応するといわれたそうだ。感染対策が不十分な中、5月16日には患者6人、職員3人が感染し、北海道からクラスターに認定された。6月1日には職員1人、患者16人となった。

   職員のDは、患者やその家族に真実を伝えられなかったことが何より辛かったという。患者の中には「隔離されていたのに、なぜコロナが移ったのか」と看護師に聞いてくるのもいたが、「陽性者と同じ病室でしかも隣のベッドが陽性者ですよ」とは、口が裂けてもいえなかった。

   ついに6月5日、初めてコロナ感染による死者が出た。脳出血で肺が悪化していた患者で、2日後に脳梗塞の患者も亡くなり、パーキンソン病の患者も亡くなった。そのうえ、中川会長が「医療従事者の待遇改善」を訴えてきて、1日3~4000円の手当が出るようになったが、ここでは6月11日現在、一切支給されていないとDはいう。

   驚くことに、中川が医師会会長になった昨年6月頃から、看護師が39度台の熱を出して、「心配だからPCR検査を受けさせてほしい」と申し出ても、幹部から、「極力、検査は受けないでほしい」といわれたという。会長の病院から感染者を出すわけにはいかないという、病院幹部たちの中川への「忖度」からだったようだ。

   使命感を持った医療従事者たちが、この病院の不十分な感染対策や患者への不誠実な説明に不信感が募り、辞める職員も多いようだ。灯台下暗し。病院側は文春の取材に対して、そのようなことはないといっているが、中川は会長職を辞して病院へ戻り、事実関係を調べて公表すべきこと、いうまでもない。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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