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平井卓也デジタル相「官製談合」疑惑!顔認証システム発注先に業界トップのNECでなく知人が顧問の会社推し

   週刊文春のトップ記事へいこう。朝日新聞が6月11日付で音声データと共に報じた、平井卓也デジタル相の「暴言」の後追いだが、こちらのほうがはるかに問題だと思うのだが、なぜ朝日はこれを報じなかったのだろう。

   平井の「デジタル庁はNECには死んでも発注しない」「場合によっては出入り禁止にしないとな」という問題発言は、4月上旬に行われた内閣官房IT総合戦略室の会議で出たものだった。文春によれば、五輪で来日する観光客や大会関係者の体調管理のためのアプリを、今年1月にNECなど5社が約73億円で受注したが、海外客の受け入れ断念などがあり、各社はコストカットを迫られ、NECが難色を示した。そこで平井が「完全に干す」と発言、NECの顔認証機能は開発を終えていたが、契約解除になってしまったそうだ。

   この音声がスクープされると、平井は、幹部たちだけの仲間内だったのでラフな表現になったといい訳したが、実はそうではなかったというのである。この会議は、同席したのは幹部2人だったが、密を避けるために戦略室のメンバー数十人がオンラインで視聴していたのだ。さらに問題は、NECに発注しないという発言の前に、平井と親しい東京大大学院工学系研究科の松尾豊教授の教え子で、松尾も顧問として参画している「ACES(エーシーズ)」というベンチャー企業を、「はっきり言ってNECより全然いい部分がある」とべた褒めしていたのである。顔認証はNECにやらせないでACESにしろと、発注機関の責任者がいったのだから、素人が考えても、法に反していることはすぐ分かる。

   元会計検査院局長で日本大学客員教授の有川博がこういう。「平井氏の発言は、いわゆる官製談合防止法に違反する疑いがある。(中略)まして、大臣は発注機関の責任者。同法に違反した場合、(中略)大臣に刑罰が及ぶ可能性もあります」

   私もNECと付き合っていた時期があるが、同社の指紋認証から始まり、顔認証の技術には世界的な定評があることは、ITに少し詳しい人間なら周知の事実である。電通出身というだけでITに詳しいと平井を任命した菅首相は、即刻、処分を下すべきであるこというまでもない。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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