今月20日(2021年6月)に期限を迎える、東京都や大阪府など10都道府県への緊急事態宣言について、大阪府の吉村洋文知事は11日、「緊急事態宣言からまん延防止措置に移行して、徐々に対応していくのが、本来あるべき筋ではないか、と思っています」。「まん延防止」期間は、3週間から1カ月を想定、「飲食店には酒類の提供自粛を含め、何らかの制限必要」とした。
「酒類提供自粛」が続くなか、都内の飲食店では、宣言期間中に酒類の提供を再開した店も出てきた。「やりたいからやっているわけではなくて、もうこれ以上待っていられない」と店主は話す。この店では、これまで、ノンアルコール飲料などで酒類提供を自粛してきたが、先月下旬に提供を再開した。「お酒がない居酒屋は誰も来ません。従業員、アルバイトも含め雇用を守ることもある。うちの場合は1000万、2000万円売り上げがあるので、協力金の額が少なすぎますね」。都の協力金は1日6万円で、1か月でも180万円にしかならない。「このまま(協力金を)もらっていたとしても会社が1店舗ずつ閉まって、最終的に会社がつぶれてしまう」。
加藤浩次「その効果が出ているんでしょうか」
14日の放送でMCの加藤浩次は
「緊急事態宣言で、酒類の提供はしないとの判断だった。その効果が出ているんでしょうか」
と質問。日本感染症学会の水野泰孝・指導医は「うーん、これはちょっと正直難しいところで。飲酒したから感染するわけではないので。長時間飲酒をすれば、声は大きくなるし、マスクを外して会話する機会も増える。感染のリスクは高まる、ということ」と説明した。
MCの加藤「オリンピックのために、飲食店が厳しい思いをあと1カ月させられるの?といったら、そこは違うと思う。経済を回したら感染者数は増えるにきまっているから、そこをどこにもってくるのか調整しているんだとしたら、本末転倒だ」。
政府分科会メンバーの小林慶一郎氏は「感染者の減少傾向などが20日まで続けば解除もある。飲食店の経営状況の悪化などを考えると、制限を緩和してもよいのでは。換気を徹底し、リバウンドが見えたら、即時対策を強める必要はあるが」。
読売新聞の橋本五郎・特別編集委員「休業を求めるならば、その分(補償を)出さなければいけない。そこはしっかりしておかないと。ずっとあいまいなままですよね。1日6万円で月1000万円収入がある人の、何の足しになるんですか。従ってもらえるような状況を作る、と言うのが政治ですから」。
「緊急宣言」や「まん延防止」などの手法の限界が際立ってきた。人流抑制とはベクトルが正反対の五輪準備にエンジンがかかったら、頼みのワクチンも間に合わなくなる。