菅義偉首相はきのう9日(2021年6月)午後に行われた党首討論で、新型コロナのワクチン接種について「きのうは1日100万回を超えた」と胸を張った。しかし、おととい8日の接種回数は63万9387回。10日の「スッキリ」が「100万回のカラクリ」を取り上げた。
菅首相は立憲民主党の枝野幸男代表の質問に答える形で、「ワクチン接種が順調に進んでおります。きのうは100万回を超えてきました」と述べた。また、今後のスケジュールについては「今月末には4000万回は超えることができる」「今年の10月から11月にかけて、必要な国民、希望する方すべて(の接種)を終えるということも実現したい」と大風呂敷を広げた。
加藤官房長官が「留意は必要」と指摘した「増分」の見方
8日は、集計上は前日に比べて100万回増えた形になっていたが、実際に8日に行われた接種の回数は63万9387回だった。これについて加藤勝信官房長官は、党首会談が行われる前のきのう午前の定例会見で、「報告がちょっと遅れて出てくるということもある。自治体によっては後日まとめて入力するところもあるので、累計回数の増分には公表日以前の接種日の接種回数の増加も含まれていることに留意は必要」と説明していた。つまり、100万回増えた背景には、週末の医療従事者の接種をまとめた数や、過去の高齢者の接種回数が含まれていたというわけだ。
菅首相はこのことを知らずに党首会談に臨んだのか。知っていたとすれば嘘をついたことになり、知らなかったとすれば正確な情報が首相に伝わっていないということの表れなのだが、「スッキリ」はこの点はスルーし、「10月から11月にかけて全国民接種」に焦点を当てた。
「今月末に4000万回を実現するためには、1日平均94万回の接種が必要です。また、10月から11日にかけて希望する全国民に接種を終えるには、1日平均132万回の接種が必要となります」という岩田絵里奈アナウンサーの説明に対し、MCの加藤浩次は「これは現実的な数字なのでしょうか。今の倍以上です。相当スピードアップしないと終わらないですね」と首をかしげた。
日本感染症学会指導医の水野泰孝氏「大規模接種、集団接種をいかにうまく使うかにかかっています」
国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソン「首相は五輪や選挙の陰がちらついて、希望的観測を語っているような気がする。『目指す』というのは意図があると言っているだけ。もう少し現実的に『ここまでは確実にやる』と言った方がいいと思います」
(キャンディ)