東京地方裁判所第3支部第1刑事部(通称イチケイ)の刑事裁判官・入間みちお(竹野内豊)は、弁護士時代の同僚の青山瑞希(板谷由夏)と、彼女の母親の多恵(銀粉蝶)に会いに行く。入間の愛犬「みちこ」の弟や妹が生まれたからだった。
その帰り道、青山は入間に、自ら法律事務所を立ち上げ、得意の企業法務だけでなく国選弁護もするつもりだと話す。そして、国選弁護である案件を担当することがきまっており、イチケイに通うことになると思わせぶりに告げた。
その翌日、イチケイの部長裁判官・駒沢義男(小日向文世)が入間と同僚の裁判官・坂間千鶴(黒木華)に、レアケースの案件が上がってきたので合議制で審理すると伝えた。
それは、ホームレスの男が起こした傷害事件で、青山が国選弁護人を務めていた。
駒沢がレアケースと言ったのは、この男の名前はもちろん、素性が一切分からない『名無しの権兵衛』だったからだ。
河川敷でバーベキューをしていたところ...
弁護人ですら被告人の素性を知らない異例の状況で始まった第1回公判で、入間の人定質問に、被告人(板尾創路)は、取り調べ中と同様に素性を明かすことを拒否した。
検察の起訴事実によると、被告人がホームレス仲間と河川敷でバーベキューをしていたところ、少年5人から繰り返し石を投げつけられ、路上生活者の1人がケガをした。
被告人はその少年の中の1人、当時17歳だった朝倉純(小野寺晃良)を捕まえてもみ合いになった。その際、被告人は朝倉が持っていたスパナを奪って殴りつけ、肋骨が折れる重傷を負わせたという。
しかし、入間が「起訴事実について間違いはないか」と尋ねると、被告人は「間違っている。嘘だ」と答え、さらに「自分は嘘が嫌いだ」とまで主張する。
被告人は一体何者で、自分の素性についてなぜ頑なに口を閉ざすのか? 検察と被告人のどちらの言い分が間違っているのか? 入間は例によって「職権を発動します」と宣言。坂間らとともに河川敷での現場検証や聞き込みに乗り出したところ......。(よる9時放送)
(寒山)