雲仙・普賢岳の大火砕流から30年!あのとき間一髪でカメラマンを引き上げさせていなかったら...「フライデー」編集長時代
43人が犠牲になった雲仙・普賢岳(長崎県)の大火砕流から30年が経つ。なかには週刊新潮専属やフリーのカメラマンもいた。私はフライデー編集長だった。うちのカメラマンも何人か派遣していた。担当編集者に、「長くなるから一度引き上げさせてくれ」と伝えた。火砕流が襲ったのは、その2、3日後だった。亡くなられた方たちを悼むとともに、あのとき、もし私が何もいわなかったらと思うと......。合掌。
5月26日(2021年)の朝日新聞朝刊に「五輪中止」社説が掲載されるまでには、社内で怒号が飛び交ったと週刊文春が報じている。社説を担当する論説委員室では、今年の3月頃から五輪中止を求める社説の議論が出ていたという。委員は約30人。ここは報道や編集部門から独立した組織になっているそうだ。
25日の夕方、中止社説が載ると分かり、社内から「なぜ、きょう載せる必要があるんだ」「なかに朝日が五輪のスポンサーであることを明記すべきだ」「取材現場での影響をどう考えているのか」という声が飛んだが、掲載に踏み切った。皮肉なことに、同日、今年の3月期の決算で創業以来最大になる441億円の赤字を出したことが発表されたのである。
前にも書いたように、東京五輪を中止するなら、夏の甲子園も中止するべきである。朝日的な二枚舌ジャーナリズムでは、読者はますます離れていくに違いない。それが証拠に、きのう(6月2日付)の朝日は1面トップで「五輪 海外選手団が来日」と打った。読んでみれば、来日したのはオーストラリアの女子ソフトボール選手団、合わせて29人だけである。
この程度の記事は、第二社会面で「豪州女子ソフト選手団ひっそりと来日」とやるべきである。これでは、東京五輪へ世界各国から続々と選手団が来るような、五輪開催が決定的になった印象を与えてしまうのではないか。それこそ菅政権の思う壺にはまることになる。