「夜の市街地。人々の背後に迫るのは野生のゾウの群れです。中国雲南省でゾウの群れがおよそ500キロ渡って北上を続けています」と司会の夏目三久。続けて、日比麻音子アナが「群れは人口800万人以上が住む昆明市までわずか20キロに迫っています。地元当局はドローンなどで24時間体制の監視を続けています」と伝えた。
中国の地元当局がドローンで監視、避難呼びかけ
番組が2日(2021年6月)に取り上げたのは、市街地に現れた野生のアジアゾウ15頭だ。元々、このゾウたちはミャンマーとの国境近くにある自然保護区に生息していたが、去年春ころから北に向かって歩き続けていて、現地の専門家は「これは中国の歴史上初めてであり、今まで見たことも聞いたこともない事態」と驚いている。
中国のSNSなどには、ゾウがバスを押して動かしたり、車を持ち上げて横転させようとしたり、住宅の庭先に入り込んだりする映像が。なんとかゾウを誘導しようと、トラックなどで作られたバリケードも悠々と突破してしまう。
深刻なのは農作物への被害だ。ゾウたちはトウモロコシなどの畑に侵入し、食べ荒らしている。被害は400件を超え、その額はおよそ1億2000万円にも上る。
地元当局は警察360人以上で対応に当たり、機体にサーモカメラを搭載したドローン9台でゾウを24時間監視し、道路封鎖や住民避難などの呼びかけを行っている。また、都市部・昆明市への侵入を防ぐため、パイナップルやバナナなど18トンを用いた「エサやり作戦」で徐々に進路変更させようとしているという。
しかし、なぜゾウは北上を続けているのか。群馬サファリパーク園長の川上茂久さんは「今までいた生息地にエサがなくなって住みにくくなったのではないか。ゾウの臭覚はかなり強く、遠くのにおいを嗅いでエサを探しているということが考えられる」と指摘。
北上はいつまで続くのか。川上さんは「安全な生活できる場所ではなかったとゾウが認識すれば、南下して元の生息地に戻ると思います」と話している。
(ピノコ)