百歳も老いたかのようにヨタヨタ走る慶喜
草彅剛の抑えた演技が胸に迫ったという人も多かった。
「草彅さんはドラマの撮影が始まる前に、演出家の方と『慶喜はつかみどころのない人』『この男が本当に将軍になるのだろうかと視聴者に思わせる人』として演じる、と話し合って決めたそうです。なんとなく一生懸命でないように見えるのはそのせいかも。円四郎の死に際していきなり号泣するようなことがなく、心の奥深くからどうしようもない切なさと哀しさが沁み出てきた草彅さんの泣き方は良かった。それにしても円四郎ロスが心配です。産みの苦しみの時代の中で平岡のような一途で真っ当な宝のごとく有為な人材がどれだけ無為に死んでしまったのだろう。平岡と慶喜、平岡と栄一のやりとりが心に染み、残る回だった」
「堤真一さんは軽妙な中にこそ重厚さが際立ちました。円四郎の元気な近況の報告をして帰る栄一と喜作に、2、3歩駆け寄り『ありがとうね』と礼を言うやす(木村佳乃)は、2人を京へ発たせるときに『うちの人を護っておくれよ』 と啖呵を切った甲斐があったと思っただろうか。そして円四郎の死を聞き、百歳も老いたかのようによたよた走る慶喜は、心中を落ち着かせようとしていたのだろうか。先週の剃刀に傷を負ったのに平静な慶喜との違いに、ただただ涙をしました。しかし、これが慶喜のギアを静かに入れるきっかけの映像に何人が気付いただろうか」