今国会での成立を目指している「LGBT理解増進法」だが、自民党は昨日24日(2021年5月)、3時間半におよぶ法案審査を行った結果、条件付きで法案を了承した。
LGBT理解増進法は、性的指向や性自認の多様性に寛容な社会を目指すことを目的に「知識の普及」「調査研究の推進」「相談体制の整備」「民間団体等の活動促進」を行うこととしているが、野党側との修正協議で「性的指向や性自認を理由とする差別は許されない」という文言が加わったことから自民党内から慎重意見が相次ぎ、先週20日の審査では了承が先送りされていたが、25日のスッキリではこの問題を取り上げ、当事者でもあるロバート・キャンベルさんが差別の解消について熱く語った。
加藤浩次「なぜ『理解しましょう』で止まってしまうのか」
先週の会議では「男なのに女と思って温泉に入るのは犯罪になる」「女性の競技に男性の体で参加して混乱が生じた例がある」「種の保存に背く」といった意見も出ていた。昨日の会議でも「同性の結婚式を断ったら訴訟を起こされるようになるのではないか」という意見も出たが、「この法案を了承しなければ自民党は人権軽視と批判を浴びる」と、国会でさらなる議論を行うことを条件に了承された。
LGBTに対する人権問題だが、2016年に稲田朋美議員を委員長とする性的指向、性自認に関する特命委員会を立ち上げていたが、その後5年間具体的な議論は進んでいなかった。しかし、今年多様性がテーマの五輪が開催される予定で、さらに総選挙も控えていることから取り組みが進んだ。
一般社団法人LGBT理解増進会の繁内幸治代表理事は「大まかな基準やガイドラインを作って国の指針を示せば学校などが動いてくる。基本知識が根付いてくることが大事。押し付けたら反発します。差別を許さないとする前に、理解を深める必要がある」と訴えている。
一方、2017年に同性パートナーとアメリカで結婚したロバート・キャンベルさんは4月27日に開かれた集会で「1日でも早く差別禁止法を」と差別を禁止できる具体的な制度の制定を求めている。
ロバート・キャンベル「5、6年前までは理解が大事だと思っていたが、状況が変わった。『理解しましょう』では実効性がない。寛容な社会をつくりましょうというのは五輪開催国としては不十分」
司会の加藤浩次「言い方は悪いが『言ってるだけ』になる。なぜ『理解しましょう』で止まってしまうのか」
ロバート・キャンベル「何をもって理解とするのか。病室の面会は許されないとか相続は認めないとか、婚姻の平等を認めることが示されていない。理解増進が必要なのは与党の中の一部の保守派。4年前にアメリカで同性パートナーと結婚したが、安定、安心を身を以て知った。(法案には)寛容という言葉が出てくるが、寛容とは『人をゆるし、罪過を咎め立てせず大目にみること』です。私は悪いことをしているんですか?私は『寛容に見てもらう立場』ではない」
(みっちゃん)