国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ調整委員長は21日(2021年5月)、五輪組織委員会との会合後に行われた会見で、記者から「東京都に緊急事態宣言が発令されている状況になった場合、大会は開催しますか」との質問に、「5つの競技でテスト大会が行われ、最悪の想定で無事に実施された。緊急事態宣言下であってもなくても安全安心な大会を開催できると、WHOからアドバイスを頂いています」として、記者の質問に「イエス」と断言した。この発言に対し、医師らからは反発の声が上がっている。24日の「あさチャン!」が取り上げた。
23日の東京・銀座では高級ブランド店前に20人ほどが列をなしており、15日の人出と比較すると、21日の東京は、銀座で102.4%、渋谷センター街で138.1%、台場で121.2%など、22地点中9地点で増加。立ち飲みの若者で問題になっていた高田馬場駅周辺ではバリケードで駅前広場を封鎖したにもかかわらず、高架下で路上飲みする姿が多数目撃された。人流が抑え込めていない現状で、菅義偉首相は「感染状況を見極めて月末にも判断する」と発言している。
「第5波が起きれば確実に医療はひっ迫する状態に」との指摘も
コーツ委員長の発言について、街の人からは「圧力かな。無理と言いにくい状態だ。国民のこと考えていない」「私たちの生命・財産を犯す権限はない」と怒りの声が聞かれた。
毎日新聞による最新の世論調査では、「中止すべき」が40%、「再延期すべき」が23%。6割以上が今夏開催を望んでいない。
国際医療福祉大学の松本哲哉教授は「本当に厳しい感染状況ですから、それでもオリンピックをやるっていう判断は基本的にはないと思う。第5波が起きれば確実に医療はひっ迫する状態になると思う」と話した。
だが、IOCのバッハ会長は「いよいよ東京オリンピックが間近に迫り、最終カウントダウンが始まった。東京はトンネルの向こうの光となるだろう。これを可能にするために私たちはいくらかの犠牲を払わなければならない」と語っている。
MCの夏目三久は「緊急事態宣言が出ても開催するなら、国民が納得できるようにしてほしい」とコメント。
国際情報誌「フォーサイト」元編集長の堤伸輔は「IOCはワクチン接種が進めば日本人も変わるというが、ワクチン接種をどうやって達成するのか。病床使用率や感染拡大がどこまで抑え込めれば安心安全なのかの目標を示すべき。コーツ委員長はオーストラリアのオリンピック委員会会長でもあるが、そのオーストラリアでは先の水泳・飛び込みのテスト大会に選手団の派遣を断念している。その国のトップが「オリンピックはできる」と口にすることには違和感がある」と指摘した。
(バルバス)