IOCのコーツ調整委員長が、「緊急事態宣言下でも東京五輪の開催は可能か?」との記者の質問に対し、「自信を持って、イエス」と答えた問題を24日(2021年5月)の番組が取り上げ、コメンテーターの玉川徹(テレビ朝日)は、「五輪は日本人の命と健康を賭けたギャンブルになる」と警告した。「IOCがおカネのために五輪をやるという姿勢は、世界中から見透かされている。記者がコーツさんに聞いたのも、日本人の命と健康を天秤にかけて、それでも五輪をやる意味ってなんですか?と聞いたんですよ。日本政府がどうするかだ。多くの人が心配しているのは、日本人の命と健康が脅かされるのでは、と心配している」。
コーツ氏は21日の記者会見で、「緊急事態宣言下で5競技のテスト大会が成功した。選手と日本国民の安全と安心を守るためのプランは、最悪の状況下でも機能した。したがって答えは自信を持って『イエス』です」と語った。「なぜ(五輪を)やるのか?選手のためにやる。五輪に参加する選手の夢をかなえるため。(8割以上が反対と言う日本の世論は)日本のワクチン接種率と相関関係がある。接種者が増えれば世論の数字もよくなると期待している」。さらに、バッハ会長は、「五輪を実現するためには、だれもがいくらか犠牲を払わなければならない」と外国メディアに話した。IOCの両首脳は改めて、五輪開催の方針を強調した。
「7月の第1週まで」論の真意
スポーツライターの小林信也氏は、IOCが「東京開催」にこだわる理由について、2024年の開催が決まっているパリについて、「東京を中止したらパリも?という危機感があるんじゃないか」と見る。「欧州の市民運動は活発だから。オリンピックって本当に意味があるのか、五輪の存在意義を問う運動がどんどん激しくなってくる」。フランスのマクロン大統領は主要国首脳で真っ先に、東京五輪開会式への出席を発表した。
現在10都道府県に出されている緊急事態宣言は、沖縄を除き、今月31日までだが、新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は「すぐにリバウンドするような解除はやめたほうがいい」。関係閣僚の一人は「宣言延長だろう。五輪・パラリンピックまで2カ月弱あると考えたら、7月第1週までやっていいんじゃないか」。
これに対し、玉川徹は、「閣僚が『7月の第1週』という真意は何か?ここまでやれば、解除して増えてもたかが知れている。いつの間にか、感染抑制か経済か、でなくて、発想はすべて、五輪を開催するにはどうすればいいか、になっている。これは、国民に受け入れられるんですかね」。
IOCとこれに引きずられる政府の危うい「五輪強行論」。いつまでもつ?
(栄)