日本国内の新型コロナの感染が収まらず、ワクチン接種も遅々として進まないなか、65日後に迫った東京五輪を今から返上することは可能なのか。きょう19日(2021年5月)の「モーニングショー」がIOC(国際オリンピック委員会)との契約内容を改めて検証した。
開催都市契約は、IOC、開催都市、組織委員会の3者で締結しており、契約解除の条件として「戦争状態、内乱、ボイコット」や「IOCがその単独の裁量で、本大会参加者の安全が理由の如何を問わず深刻に脅かされると信じるに足る合理的な根拠がある場合」と定めている。中止の決定に関する権利は「IOCが有する」としている。賠償金に関する記載は契約にはない。
IOCの現状認識は?
開催都市契約に詳しい松本泰介・早大准教授は「一般的に、契約を結んだら破棄した方が賠償金を支払う。一般原則に従うと、IOCの損失は日本が賠償することになる可能性がある」と指摘している。
大会組織委の武藤敏郎事務総長は、先週14日の会見で記者団から「開催中止の場合、IOCから賠償請求があるのか」を問われ、「考えたことはない。見当がつかない。そもそもそんなことを言い出す人がいるのか予想もつかない」とはぐらかしていたが、組織委はこのような場合に備えて保険に加入している。「1年前に延期した時には500億円がおりたそうですが、今回はそこまでのぞめない可能性があるそうです」とMCの羽鳥慎一が伝えた。
浜田敬子(元AERA編集長)「開催都市の安全が脅かされるかどうかはもともと契約の条件に入っていません。改めて、開催都市にとって不平等、不利な契約だと思いますね」
スポーツライターの小林信也氏「オリンピック開催都市への立候補が少なくなっているなか、日本が返上したとしても(賠償金は)莫大ではないと思われます。ただ、中止ができるのはIOCだけ。日本人はコロナ禍で安全が脅かされていると思っているが、IOCは現状では安心だという判断をしており、中止を考えていない」
再延期の可能性
再延期の可能性はどうか。武藤事務総長は再延期が難しい理由として、大会後は住宅になることが決まっている選手村について「民間の契約にこちらの都合を押し付けるので非常に困難」、「アスリートのモチベーション維持が難しい」などを挙げている。小林氏は「組織委員会に出向している都の職員の人事の問題もあるようですが、それはやる気になれば(解決)できること。延期によって国民がオリンピックを支持してくれるのであれば、当然検討すべきだと思います」と話した。
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「契約は、お互いに合意があれば変更できます。交渉して(中止条件の条項に)パンデミックの一文を加えればいい。IOCがそれを嫌がって損害賠償を請求するのであれば、世界中から非難されるはずです」
(キャンディ)