報道を考える―ニュースを制作するうえで大切にしてきた4つのポイント

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   先週に引き続いて、今週も「報道」について考えます。特に「報道」でメインの部分を占める「ニュース」に関して、考察を加えました。

   「ニュース」にとって"ニュース価値がある"ということは、大事なことです。ニュース価値があるとは何でしょうか。いろいろなケースがありますが、新しいこと・独自性があること・社会的に意義があることなどです。この判断は簡単ではなく、社会的意義があっても伝えることによって失うことが大きなことは、ニュース価値があっても伝えるかどうか、判断が分かれます。例えば性犯罪において、ニュースとして伝えることによって、匿名にするにしても被害者がある程度特定できてしまう場合がそれです。

   私は、2001年7月から2004年7月まで、報道局ニュース編集部長という、ニュース制作の責任者を任されていました。2009年2月から2011年6月まで、報道局長でした。

  • ニュース報道について(写真はイメージ)
    ニュース報道について(写真はイメージ)
  • ニュース報道について(写真はイメージ)

難しい判断でも原則は守る

   経験を踏まえ、ニュースを制作するうえで、大事だと思っていたことを申し上げましょう。

   1:裏取りをきちんとする(最低でも2本)

   これは起きている事象が事実かどうか"裏を取る"ことですが、最低でも2つ確保すること必要です。

   2:公平・公正であること

   3:被害者報道の原則をきちんと守る

   先ほども申し上げましたが、難しいことなのです。事件の被害者の権利等の保護に気を使うことです。

   4:スクープ意識に対する自制をもつ

   これも難しいことですが、スクープを取ったかも知れないという意識を1度捨てて客観的に事象を見るということです。

   最後に付け加えたいことがあります。

   「2:公平・公正であること」ですが、例えば北朝鮮が示しているいろいろな方針に対して、それをできるだけ客観的に伝えることは必要ですが、拉致被害者のことにしても、徹底的に批判するのは当然のことです。そのことに関しては、両者の主張を平等に取り扱う必要はありません。

渡辺弘(わたなべ ひろし)
渡辺 弘(わたなべ ひろし)
1952年生まれ。東京大経済学部卒業。1976年に日本テレビに入社し、制作局CP、ドラマ制作部長として番組づくりの現場で活躍。編成局長、制作局長、取締役報道局長、常務・専務を歴任した。「マジカル頭脳パワー!!」「THE夜もヒッパレ」「「スーパーJOCKEY」「24時間テレビ」などヒット番組をプロデュースした。 現在は「情報経営イノベーション専門職大学」客員教授。映像会社「2501」顧問。
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