コロナ禍で「3密」を避けて楽しめるレジャーとしてハイキングに行く人が増える中、低い山での遭難が増えている。
埼玉県では、標高1000メートル以下の山での遭難件数が、去年(2020年)の1~3月に比べ、今年の同時期は倍に増えたという。
「お決まりのパターン」とは
山での遭難を研究する静岡大学の村越真教授が、人が遭難する時の「お決まりのパターン」を解説する。
村越さん「基本的に下りで迷う人が多いんですが、下って間違えていたとわかるとどうしても登り返さないといけない。山って登り返すのにすごく労力がいるわけです。下っていくと『ひょっとしたら上手くいくかもしれない』という気持ちを持ってしまう」
南アルプスで道に迷ったある男性が、「沢に沿って歩けば下山できるだろう」と山を下っていったところ、沢の先が数メートルの滝になっていた。「滝壺は深いから体を打たないだろう」と飛び込むと、川底にあった岩で左足を骨折して動けなくなってしまった事例もあったという。
村越さん「人間って怖くて不安になると視野が狭くなる。その場では合理的なつもりでも、間違った判断をしやすくなります。自然がどういうところかを十分把握した上で無理をしない。特に初心者の方はそういう心がけで登っていただきたいと思います」