東京都内の牛ノ町総合病院の外科に勤務する1年目の研修医・雨野隆治(白濱亜嵐)は、5歳の時に兄を病気で亡くした経験から「1人でも多くの命を救いたい」と医学の道を志し、鹿児島の大学医学部を卒業した。
母子家庭に育ち、学生時代は学費を稼ぐために銀座のクラブでホステスのアルバイトをしていた中園くるみ(恒松祐里)、医学部を卒業しながら普通のサラリーマンを3年間経験した滝谷すばる(柄本時生)、八王子にある川村総合病院の次男の川村蒼(野村周平)の3人の同期とともに、1日も早く1人前の医者になることを目指して奮闘している。だが、現実は、知識も経験もなく、先輩医師には怒鳴られ、ベテランの看護師にまで邪魔者扱いされる毎日だ。
指導医は叱責
雨野はこの日、胃がんで入院している87歳の将棋好きの患者・森山(品川徹)から聞き取りを行い、病状を含めた情報収集する業務(=アナムネ)を任された。雨野は懸命にコミュニケーションをとろうとするが、森山は認知症が進行していて会話もままならない。そこで、看護師の吉川文枝(西尾まり)が事前にヘルパーさんに聞いていた情報をもとに、今後の治療方針を決めるカンファレンスが行われることになった。
雨野は「助かる余地があるなら、手術を行った方がいいと考えます」と提案するが、雨野らの指導医・佐藤玲(木南晴夏)は「まだ闘い続けろって言うの? あんたの方がエゴじゃないの?」と叱責。結局、森山の年齢や認知症などの状況を考慮して手術は行わず、痛みの緩和や生活の質(QOL)を高めたりするベスト・サポーティブ・ケア(BSC)でいく方針が決まった。
そんな中、森山は夜中にベッドに立ち上がって転倒し、さらなる事故を予防するためにベッドに拘束されてしまう。森山がしばしば天井を指差しながら起き上がろうとしていたことを思い出した雨野は「あの謎の行動は何だったんだろうな?」と考える。森山はその行動で、あることを伝えようとしていたのだった。
中園は「説得して手術をしたい」という気持ちが空回り
一方、中園は膵頭部にガンが見つかったシングルマザーの患者を担当。「手術をして根治を目指すのが、今はベストです」と手術を勧めるが、母親は「娘との時間を優先させたい」「娘の中学受験が終わるまで待ってほしい」と手術を拒否する。
手術を先延ばしすれば、がんが進行してリスクが高まってしまうため、なんとか説得して手術をしたいという気持ちが空回りする中園に、佐藤は「医者に向いていないんじゃないの?」と言い放つ。佐藤がことさらに、雨野や中園らの研修医に厳しく接する裏には、ある熱い思いがあるのだが......。
原作は、劇中の雨野と同じ鹿児島大学医学部卒の現役の医師・中山祐次郎の同名小説。それだけに、研修医たちの厳しい現実や、手術・治療のシーンもリアルだ。(よる11時放送)
(寒山)