「お父さんはお人好し」の1時間特別版の放送当日。NHK大阪放送局ではスタッフが大慌てしていた。脚本家の長澤(生瀬勝久)は盲腸で入院したままで、原稿は未完成だったからだ。千代(杉咲花)や当郎(塚地武雅)は、なんとか本番に向け今あるものでなんとか練習していた。
放送30分前、最終原稿を持った長澤が現れた。
千代「おおきに。助かりました」
■戦争未亡人に焦点
千代たちはすぐに放送準備に取り掛かった。
この日の物語は、戦争で大陸に渡った夫と終戦後も音信不通だった次女・乙子に医者との縁談が持ち上がるというものだ。戦争未亡人に焦点を当てた話にラジオの前の聴衆は聞き入った。
栗子(宮澤エマ)もその1人だった。自分の人生と物語を重ね合わせて聞いていた栗子だが......(NHK総合あさ8時放送)