竹野内豊主演の裁判ドラマ「イチケイのカラス」(フジテレビ系)第5話が5月3日(2021年)に放送されたが、2つの裁判を併合するという無理な設定に加え、書記官が恋愛感情にかられて捜査する展開に、ネット上では「あり得ないでしょ」「今回は一番つまらなかった」というブーイングの嵐が起こった。
裁判は、バレエ団で起きた傷害事件。被告人は、バレエ団代表で振付師の槇原楓(黒沢あすか)。被害者はバレエ団の元トレーナー矢口雅也(松木研也)。2人は口論からつかみ合いになり、槇原は矢口を階段から突き飛ばす。頭を強く打った矢口は意識不明に。起訴状を見た石倉(新田真剣佑)は驚いた。バレエ団に在籍するバレリーナ・馬場恭子(生田絵梨花)は石倉の初恋の相手だったのだ。
バレエ団の生田絵梨花は書記官・真剣佑の初恋相手
裁判長の坂間(黒木華)に、みちお(竹野内豊)は傍聴席から「さっき、食い逃げの公判をやった。食い逃げとバレエ団、ふたつの裁判を1つにくっつけたい」と書いた紙を坂間に見せ、自分が担当する食い逃げ事件との併合審理を提案する。食い逃げ事件の被告が、バレエ団事件の犯行時刻に現場を通りかかり、被告以外にもう1人現場にいたと証言したからだ。結局、2つの事件は併合審理となり、「イチケイ」を目の敵にする次期最高裁長官・日高亜紀(草刈民代)の知るところとなった......。という展開だ。
ネット上では、裁判システムを無視した展開がデタラメすぎるという批判の声が上がっている。
「『証言』という言葉の扱いが軽すぎる。傍聴席から証人を唐突に引っ張り出したり、検察官だって作為を感じたから召喚しただろうに、4人まとめて証言をさせたり。恭子(生田絵梨花)が午前中は取材を受けていたと主張するのなら、記者に証言させるべきだ。しまいには食い逃げ犯・元木の『ウソついていました。すんません!』。それは証言ではなく、もはやただの妄言。想定外なのだから、いったん休廷すべきでしょ。最後は、『被害者、意識回復しました~』『よかった~』って。あんたたち、真面目に仕事しろよ、もう」
「面白いがデフォルメしすぎ。まったく関連性ない事件の併合なんてあり得ない。リアル感がなさすぎて、ストーリーに入り込めなかった。今回の事件なら、食い逃げ犯をバレエ団の傷害事件の証人として法廷に呼べばいいことだ。事件併合の必要性がまったくない。まあ、あり得ない法廷審理がドラマのミソだから仕方ないのだろうが、結局、そのミソ?スパイス?は、裁判官が『真実発見のために職権を発動します!』と言うところだけにして欲しいなあ」
食い逃げ被告の偽証問題、その後どうなったの?
「食い逃げ被告の偽証問題、その後どうなったかまで教えてほしかった」
「このドラマ、基本的に裁判員が全然登場しないのがおかしい。裁判員は殺人、傷害致死、放火、強盗致傷などの重い犯罪には対象になる。今回は違うが、たとえば4話の札束をばらまいた強盗致傷事件などでは登場するのが当然だ」
「今までで一番つまらない回でした。裁判官が主役ではなくて、書記官が主役では、やはり盛り上がらない。だいたい書記官が、あんなに裁判に関わるのかと違和感がある。書記官の勝手な捜査に、医師が患者の個人情報を漏らすなんてありえないし、道義上許されない行為だ。やはり恋愛や初恋なんかを絡めるとドラマ自体が面白くなくなると痛感した。書記官を出しゃばらせるべきではないと考える。これからは、本筋を逸脱しないでドラマを進めて欲しい」
「同感だ。やはり恋愛とかが入るとつまらなくなる。今回は真剣佑が主役だったが、安易に倫理違反までして助けようとしていいのか。ドラマは穴だらけでもいいし、重箱の隅を突くのは下らないし、面白ければよいと思いますが、今回は消化不良だったな」
自己チュー人間ばかり集まったバレエ団
バレエ団の設定もかなり無理があったという声が多い。
「乃木坂46の生田絵梨花。クラシックバレエをやっていただけあって、さすがにバレエシーンはキレイですね。でも、セクハラパワハラ男は許せないけど、階段から突き落としておいて、最後に真剣佑に『さようなら』と、そのまま帰れるんだ、えっ?と思いました」
「ずいぶんひどいバレエ団ですね。1人のバレリーナがバレエ人生どころか通常の生活まで困難になろうかという危機に瀕しているのに、みんな知らん振りして彼女にバレエを続けさせようとしていたというのでしょうか?偽証までして!何ともまあ自己チュー人間が集まったバレエ団ですね」
最後に、よかったシーンの意見も紹介したい。
「草刈民代『バレエねぇ...』。小日向文世『お詳しいんですか?』。草刈民代『全然』......。演出のお遊びはよかったけどね」