「東京五輪・パラリンピックに向けて大会組織委員会が日本スポーツ協会を通じて200人程度のスポーツドクターを募集していることが分かりました」と司会の夏目三久が4日(2021年5月)、伝えた。組織委は4月、日本看護協会に看護師500人の確保を依頼し、批判を受けていた。
今回のスポーツドクターについて街で聞くと「ビックリしました。この時期に200人もどうやって集めるのだろ」「ちょっと、後手後手ですよね、やることが」と改めて驚き、あきれている。
「ワクチンの打ち手に回った方が...」
スポーツドクターは、医師免許を取得後4年が経過し、講習会などを経て得られる資格で、スポーツをする人の診察やけがの治療などを行う医師だ。募集内容によると、ボランティア活動で、体調不良者やけが人の治療、熱中症、コロナの疑いのある人への救急対応など。1日9時間程度で、数日間行うことが条件で、交通費などを除いた謝礼はない。
自身も募集案内が届いた日本医科大学の北村義浩特任教授は、ボランティア募集自体は悪いことはないとしたうえで。「5月、6月はワクチンの打ち手が少ないんじゃないかと思われるので、私個人としては打ち手に回った方が貢献度は高いんじゃないかなと思っています」と話していた。
先月、看護師500人の派遣を要請したことも波紋を呼んだ。菅首相は「看護協会の中で現在、休まれている方もたくさんいらっしゃると聞いているので、(五輪への看護師派遣は)可能だと思っています」と述べた。これについて医療現場で働く人は「看護師自体も少ないので難しいと思います。簡単には集まらないと思う。もっと逼迫しちゃうから」と批判していた。
SNSでも「#看護師の五輪派遣は困ります」という訴えが広がり、「お願いだからこれ以上医療従事者に負担をかけないでください」「オリンピックよりも今はコロナ対策。五輪は無視していいと思います」といった声が相次いでいる。
東京五輪開催まで80日。いまだ、数多くの課題が残されている。組織委の顧問を務める東京都医師会長の尾﨑治夫氏は「医療体制ということを考えればいまの感染状況が続く限りは、オリンピックは難しいと思っています」と話している。
変異ウイルスの感染拡大、緊急事態宣言、ワクチン接種――果たして大丈夫なのか。
(一ツ石)