コロナウイルスの感染者が再び急増している北海道・札幌市で明日5日(2021年5月)、「マラソンフェスティバル2021」として、東京五輪の日本代表男女5人ら120人の選手が競うハーフマラソンが開かれる。海外4か国から6選手も参加する。五輪本番と同じコースを使用、警備・感染対策などの運営テストも行われる。
一方で、同日開催予定だった市民マラソン(10キロ)は、感染拡大を理由に中止された。五輪テストだけ開催されることについて、ネットでは、「過去最多の感染者で市民マラソンは中止なのに、あまりに理不尽」「部活も休止中で市民マラソンも中止なのに、道民の命を優先してほしい」との声が聞かれた。
「テストの段階でこれだけ不満が出るということは...」
鈴木直道・道知事は「(テスト開催の規模は)必要最小限にして、万全の感染対策で実行してほしい。沿道での観戦はせずテレビで見てほしい」。
コメンテーターの菊間千乃・弁護士は、「今回はテストですが、五輪が始まったらこういうことだらけになるんですね。五輪選手のために病床を空けておくとか、医療従事者を五輪専用に数百人も確保するとかいう話になってくると、 五輪中に何かあった時に、日本人じゃなくて選手を優先する可能性もある。それを踏まえたうえで、五輪開催を国民が納得するという状況じゃないと。テストの段階でこれだけ不満が出るということは、本番になったらどうなるのか。政府も説明をきちんとしておかないとだめじゃないかと思う」
コメンテーターの玉川徹(テレビ朝日)「市民からこういう声が上がってくる背景はなにか。五輪だけは別枠だ、という国の姿勢を感じている。今回のマラソンだけじゃない。五輪についてのすべてのことが、そこのけそこのけオリンピックが通る、みたいな。五輪に関することは、とにかく理屈はぬきにして、やる、と」
北海道では2日、過去最多の326人の感染が確認され、うち札幌市が246人と7割以上だった。鈴木知事は、早ければ明日にも「まん延防止措置」適用を政府に要請する。ただ、政府の最終決定には時間がかかるので、同措置の適用を待たずに、できるだけ「独自の強い措置」を講ずる考え。具体的には、明後日から、札幌市内の飲食店などで、午後9時を午後8時閉店と時短要請するほか、テレワークなどで、出勤する人の7割減を目指す方針だ。
聖火リレーも五輪テストも、五輪を窮地に追い込むばかり。後がなくなった菅政権に「五輪中止なら、即時退陣」の予測も出始めた。
(栄)