「薬物指紋」は決め手になるか 「紀州のドン・ファン」事件では...

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   「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家男性に覚醒剤を摂取させ、急性覚醒剤中毒で死亡させた疑いで元妻が逮捕されてから2日。元妻はきのう29日(2021年4月)に送検されたが、逮捕前の任意の事情聴取に対しては、事件への関与を否定していた。

   しかし、2人をよく知る人物を取材すると「(ドン・ファンは)これ以上こんな状態が続くなら離婚する」と話していたという。

  • 著書のタイトルは『紀州のドン・ファン』だった。
    著書のタイトルは『紀州のドン・ファン』だった。
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「検出された微量の覚醒剤では困難」

   捜査関係者によると、自宅1階の台所付近の床や掃除機から微量の覚醒剤が検出されたという。2人を知る人物によると、「元妻は普段は掃除なんてしたこともないのに、事件前に紙パック式、縦型、持ち運びできるタイプの掃除機を購入した」と話した。

   元妻は離婚話が出ると、慌てて東京から和歌山に戻ってきた。その後、SNSを通じて覚せい剤の密売人と連絡を取り、地元で接触していたとみられている。また、事件前には「覚醒剤」「完全犯罪」などと複数回検索していたこともわかっているが、殺害に直接つながる証拠は明らかになっていない。

   MCの谷原章介は「状況証拠しかないなか、台所と掃除機から検出された微量の覚醒剤は、犯行に使われたものと同一のものと特定できるのか」と疑問を投げかける。

   法科学研究センターの雨宮正欣所長は「薬物には『薬物指紋』と呼ばれるものがあり、薬物に含まれる不純物を取り出すことで同一性を判定する。しかし、それには1グラム程度の量が必要で、検出された微量の覚醒剤では困難。また(ドン・ファンの)体内に残された覚醒剤も体に溶け込んでおり、出元を調べるのはかなり困難」と解説。

どうやって摂取させたのか

   公認会計士の森井じゅんは「事件から3年たって逮捕したのは何らかの証拠があるからだと思う。入手経路がわかっても摂取させた証拠があるのか? 動機は遺産だとしても殺人で有罪になれば相続する権利を失うわけで、遺産を狙った犯罪というのは動機になりにくいのではないか」と指摘。

   警察によると、SNSで密売人と連絡、夕食時に家にいたのが2人だけ、死亡した原因が覚醒剤だった点がポイント。元警視庁刑事の吉川祐二氏は「それらに加え、どうやって資産家男性に覚醒剤を摂取させたのかが重要になってくる」と指摘した。

   谷原は「今の状態ではいくらでも言い逃れができる。物証が上がってくるのを待ちたい」とコメントした。

(バルバス)

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