ゴールデンウイーク初日となったきのう29日(2021年4月)、20時になると渋谷の街はネオン等が消された。NTTドコモのデータによると、渋谷センター街の人出は前日比で5.2%減。新宿駅では17.7%減少していた。雨が降っていたこともあるが、多くの繁華街が閑散としていた。
しかし、各地を取材すると、思わぬ場所に人が集まっていた。朝から行列ができていたのは東京・墨田区で新規オープンしたパチンコ店。また埼玉・三郷市の大型商業施設では車が大渋滞を起こしていた。
大阪の現状
MCの谷原章介は「生活必需品を売っている店に行くお客さんでしょうね」。
だが、新規感染者数は一向に減らない。29日は東京で1027人、大阪では1172人、秋田と石川では過去最多の新規感染者数を記録。なかでも気になるのが大阪での死亡者数。29日は44人が亡くなっている。
昭和大学医学部の二木芳人客員教授は「大阪は重症者病床がいっぱいいっぱい。本来重症者病床に入らなければいけない人が入れない状態が続いている。死亡者44人という数字は今後さらに大きくなっていく可能性を考えておかないといけない」と懸念を示す。
中でも最大の懸念材料が変異株だ。咳などの症状で大阪市の病院に救急搬送された62歳の男性は変異ウイルスに感染したとみられており、肺のCT画像を見ると肺炎を起こした状態。担当医師は「粘度が高い肺炎に思える。重症化しやすいのではないか。次の第5波はインド株が中心になる心配がある」と話した。
従来型より感染力が強いとされるインド型の変異ウイルスは今月、東京都内でも初めて確認されている。都のモニタリング会議は「仮に今後の感染が、感染力が高いとされるN501Yに置き換わると、2週間後には1日約2000人の新規感染、入院患者は6000人になる」と試算している。
二木教授が勤務する昭和大学病院では「N501Y」、「E484K」の両方の変異を有する「二重変異型」のウイルスに感染した20代男性がいることがわかった。このような「ダブルポジティブ」がこの病院で確認されたのは初めてで、ダブルポジティブが今後広まる可能性を指摘している。
二木教授は「N501Yはイギリス型で感染力が強い。E484Kは免疫を回避する可能性が指摘されており、ワクチン接種後にも感染する可能性がある」と言う。
変異ウイルスへのワクチンの効果は?
WHO(世界保健機関)は特に3種類の変異ウイルスに警戒感を示しているという。それは英国型、ブラジル型、南アフリカ型だが、二木教授はさらに3種の変異ウイルスに警戒が必要と指摘する。それはフィリピン型、カリフォルニア型、インド型だ。
「フィリピン型は2つの変異を持っていて危険性が高いと国立感染症研究所も評価している。カリフォルニア型は沖縄で1例見つかっています。そしてインド型は免疫を回避すると言われている不気味な存在です」(二木教授)
ではいったい、変異したウイルスにワクチンは効果があるのか?
米製薬大手ファイザーでは「30種以上の変異株を調べたがほぼすべてでワクチンは効果がある。インド型も前に調査した変異がありそれに対する効果がある」という。二木教授も「新たな変異に合わせてワクチンを改良するのはそれほど時間がかからない。ただし、世界の20億人分を作るのは大変なこと。将来を見据えると国産ワクチン開発が重要」と言う。
現在の日本国内のワクチン開発状況はアンジェスがフェーズ2/3で一歩リード。塩野義製薬、第一三共、KMバイオロジクスが後を追っている
果たして収束できるのか? 米エミリー大学などでは、最終的に風邪のような症状になり、1~10年程度で死亡率0.1%になると予測。一方、米国国立生物工学情報センターでは1889年から流行したロシア風邪はコロナウイルスの1つだったのではないかという見方を示しており、収束まで4~5年かかると予測している。
谷原は「いかにしてコントロールする状態をつくるかということですね」と話した。