吉田羊のドラマ中「人生相談」 演じるトキコの「答え」も見どころ
ドラマ24「生きるとか死ぬとか父親とか」(テレビ東京系)

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   当代を代表する実力派の吉田羊と國村隼がW主演し、ケレン味のない自然体で、もどかしくも切ない親子の絆を演じる滋味あふれるドラマだ。

   40代半ばの蒲原トキコ(吉田羊)は、「晴れときどきお悩み」という人生相談が人気のラジオ番組のパーソナリティーでエッセイスト。古希を越えた父・蒲原哲也(國村隼)は、かつては会社を経営して羽振りのいい時期もあったが、会社の倒産で全財産を失い、今はスッカラカンだ。今で言う『負け組老人』だが、いじけた様子はなく、おしゃれなファッションを着こなし、飄々と生きている。

  • 「生きるとか死ぬとか父親とか」(テレビ東京系)の番組サイトより。
    「生きるとか死ぬとか父親とか」(テレビ東京系)の番組サイトより。
  • 「生きるとか死ぬとか父親とか」(テレビ東京系)の番組サイトより。

父娘の心の機微描く

   トキコの母(富田靖子)は20年前に亡くなり、トキコはその後、2度ほど哲也と一緒に暮らしたが、勝手気ままな哲也と折り合いがつかず、今は2人とも1人暮らしだ。

   その母の墓参りの帰り、哲也が「東京郊外の公団住宅に引っ越したい」「家賃12万円で少し援助してほしい」と言い出した。そこで、トキコは哲也のことをエッセイに書き、その原稿料で援助することを決めた。

   トキコは、母親の人生を本人の口から聞けなかったことをとても後悔していて、父親に対しても同じ思いはしたくないと考えたのだ。

   そんなわけで、疎遠だったトキコと哲也は頻繁に会うようになった。それでも、何か特別なことをするわけではなく、ケアハウスに入居している母親の妹(松金よね子)を2人で訪ねたり、トキコが哲也の顔のシミ取りに付き合わされたり......と、『老人あるある』的日常が描かれていく。

   時折、昔の哲也の不倫現場を目撃したトキコの記憶がフラッシュバックし、現在も女性の影が垣間見えるといった波乱要素を織り込みながら、老いてなお残りの人生を精一杯楽しもうとする哲也と、そんな父に振り回され、愛憎相半ばする感情を抱きながらも支えようとするトキコの、2人の心の機微が、淡々と、時にユーモアとペーソスを交えながら描かれる。さりげなく盛り込まれたエピソードにドキッとし、身につまされる視聴者も多いだろう。

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