吉沢亮主演のNHK大河ドラマ「青天を衝け」第10話「栄一、志士になる」が4月18日(2021年)に放送された。草莽の志士となるべく栄一は江戸へ行く。一方、長七郎(満島真之介)は幕府要人の暗殺計画に加担しようとする。若者たちの煮えたぎる熱量に、ネット上では「青春群像劇がスゴイことになってきた」「こんなに興奮する大河、久しぶりだ」と称賛の嵐が吹いている。
「行くな、長七郎!お前のような剣士を失いたくねえ」
物語は、暗殺された井伊直弼の代わり老中になった安藤信正(岩瀬亮)が、孝明天皇の妹・和宮(深川麻衣)を将軍・家茂(磯村勇斗)に降嫁する公武合体を進め、尊王攘夷の志士たちに火をつける。 一方、念願の江戸に来た栄一(吉沢亮)は、尊王論者・大橋訥庵(山崎銀之丞)を紹介され、安藤の暗殺計画を知る。長七郎はその計画に参加し、成功した暁には切腹すると決意する。
しかし、惇忠(田辺誠一)は安藤を斬っただけでは尊王攘夷の志は達成できないと長七郎を説得する。「行くな長七郎。お前のようなかけがえのない剣士を安藤ひとりのために失いたくねぇんだ」と叫ぶのだった。また、千代(橋本愛)が妊娠した。千代は「幕府を倒す」という栄一の気持ちもわかるが、家族や村の人々を思う「とっさま(小林薫)の気持ちも大事だと思う」と言うのだった。
若者たちの群像劇が熱い!という称賛の声が多かった。
「熱かったね。生まれてはじめて真剣を手にして錯乱してしまう栄一。若さゆえのエネルギーとかウックツとか、いろんな感情が凝縮されて、見ていて熱くなった。時代がどんどん沸騰していく中、栄一がどう変わっていくのか、続きが非常に楽しみ」
「青春群像劇。いいね。若者の熱量が伝わってくる。近年の大河の中で一番新鮮で清々しいドラマだと感じました。ベテラン俳優の方々が、若手の俳優さんたちを支えてあげながら、また若手の方々もそれに応えようと懸命に真摯にお芝居をされているのが、伝わってきます」
維新の始まりは江戸の足元にもあった
幕末維新を「西」ではなく「東」から描く視点が新鮮だという声も。
「維新の始まりは"西"だけではなく、江戸の足元にもあるコトを描いた作品は今までなかった。高杉晋作の奇兵隊がすぐになされたワケではなく、その背景があった。それがどう描かれるのか。渋沢栄一のような幕臣が維新以降になぜ?どのように活躍できたのか。興味が尽きない」
「次々と沸き起こるエピソードの嵐が凄いことになってきた。尊王攘夷を背景に、志士の過激行動、体制安定を図る幕府の公武合体、和宮降嫁とその道中接遇に駆り出される百姓たち。過激派の幕府重臣テロリズムから体制変革を目指す倒幕への道程、そして妻千代の懐妊。攘夷運動から反体制運動に開眼し、突き進む栄一の試練と葛藤。イメージは1960~70年の全共闘に巻き込まれて右往左往する純真な田舎エリート。NHK大河の常連視聴者のある種予定調和な展開を完全に裏切っていく万華鏡的ストーリー。いや興奮しました」
渋沢栄一の合理的思考が存分に出た回だった。
「思考停止状態の封建時代を打ち破って近代経済の父となった栄一。幕府とも志士とも違う合理的思考の持ち主の栄一は、そこだけ照度が異なるかのように根源的な明るさと魅力を持っている。荒々しい時代の端境期に栄一を見るとホッとする。『天罰なんか与えず、神風でも吹かせてくれればいい』というセリフも、農民が和宮の行列の世話をすることに不満げなことも栄一らしく共感できる。先進的だが、決して極端な方向にブレない栄一がどのようにして偉業を成していくか楽しみです」
「天罰なんか与えず、神風を吹かせればいい」
「栄一が思誠塾で、『どうして日の本の神様は神風を起こしてくれねぇんだ。天罰なんか起こさねぇで、風で異人も病も吹き飛ばしてくれりゃいい』と真正面から言い、ひんしゅくを買っていた。以前に姉さまが狐につかれたエピソードを思い出した。あやしげな祈とう師を、栄一は合理的思考で論破してしまった。この思考が、栄一にとって今後の鍵になっていきそう」
「威勢のいいセリフしか出てこないテロリストどもに、新しい国を造るだけのビジョンとか、具体的な方策があるのだろうか。その点、栄一の場合、百姓という地に足のついた生活の基礎があるし、この世の営みを経済の視点から考えられる才覚もある。それが栄一の強みだ。『オマエは百姓なんだから、鍬や鋤で地面を耕してりゃいいんだ』とバカにされていたが、狂信的なテロリストなんかには言われたくない、と腹がたったよ」
「栄一編、慶喜編に続き、お千代編を作ってほしい」
さて、今後はどうなるのか。千代がキーマンになっていくのでは、という期待の声もある。
「いよいよ栄一くんが江戸にやってきて、ドラマが大きく動き出す気配ですよね。これからの栄一くんと徳川慶喜さんとの絡みが、とても楽しみになります。かなりワクワクする大河ドラマになってきました。まだまだ先ですが、栄一くんのパリ万博に伴う留学のお話とか、役人から実業家になるお話が、凄く待ち遠しくなるのですね!」
「パート3はお千代で決まり。沸騰する栄一を静かに見つめて信頼するお千代。栄一、慶喜に続き、お千代編ができても不思議がないくらいお千代の存在感に感服しました。お千代に限らず、村の女衆を明るく、強く、このドラマは初回から描いていましたね。それにしても眉毛を剃った長七郎は怖かったですねェ~」