移動珈琲屋の店主が心を込めて淹れた珈琲と、穏やかでさりげない一言が、人生に少し疲れた人の心を癒すオムニバス・ドラマだ。1話につき2編のショート・ストーリーが放送される。
原作は「凪のお暇」などで知られるコナリミサト「珈琲いかがでしょう」(マッグガーデン刊)。2014年~2015年にかけて『WEBコミック EDEN』で連載された人気漫画だ。監督・脚本は、映画「かもめ食堂」の荻上直子が手がけた。
「周囲から慕われている」と思っていたら...
軽トラックを改造したキッチンカーで全国津々浦々を回る移動珈琲屋「たこ珈琲」は、笑顔が素敵な店主・青山一(中村倫也)が1杯ずつゆっくりと時間をかけて丁寧に、誠実に淹れる珈琲が人気だ。心に傷を負っている客は、青山が淹れた特別な珈琲と取り留めのない会話に背中を押され、もうひと頑張りする勇気を与えられる。
だが、この店主、善良で優しいだけの軟弱男ではない。ゴロツキ男に絡まれている女子高生を助ける際に、男が「なんだ、テメエは?」とスゴんだ瞬間、男の手首をひねり上げて「珈琲屋です」とニコッ。男は恐怖に固まってしまう。その男いわく「人を殺したことがある目をしてた」。
青山は何やら暗い過去を持っているらしく、危険な匂いがプンプンの謎の男「ぺい」こと杉三平(磯村勇斗)に追われている。
この日放送予定のうち、一編を紹介する。一流企業に勤める飯田正彦(戸次重幸)は、仕事をバリバリこなし、ルックスもあの『ヨン様』にも似ていると言われ、周囲から慕われている完璧なサラリーマン......のはずだった。この日は、青山の「たこ珈琲」で女子社員たちに珈琲をおごり、珈琲のうんちくを披露。女子社員たちは「飯田さん、チョー博識」「何でも知ってるんですね」と持ち上げていた。
そんな折り、新しい企画について部下と意見が衝突した飯田は、同僚・森(小手伸也)に不満をぶつける。森はデップリとした体型で、「オレ、銭湯のコーヒー牛乳しか飲めないんだよ」と公言してはばからない見た目も性格も正反対の男だった。
そんな矢先、飯田はひょんなことから、女子社員たちが飯田の悪口で盛り上がってるのを聞く。自分が嫌われていることを知ってショックを受けた飯田は、妻・由美(筧美和子)に「オレって、イケてないのかな?」と泣き言を言う始末だ。青山の店でも珈琲を飲みながら自分の無様さを嘆く飯田に、青山は......。
すると、そこにぺいが接近してきた。(よる11時6分放送)
(寒山)