この大河は視聴者を小学生に置いているのか
一方で、井伊直弼がたった2週で退場したことにガッカリした人も多かった。
「先週は井伊直弼を軸にその成り上がっていく様子を丁寧な心理描写で描いてとても見応えがあった。今週は安政の大獄・桜田門外の変でさらに期待したが、面白くなかった。井伊直弼はただ紙に書いた名前に赤線を引っ張るだけで、あとは左内の捕縛シーンと斉昭の永蟄居、慶喜の謹慎ぐらいでとても『大獄』には見えない。志士たちの描写も薄くて断片的だった」
「なぜ井伊がチャカポンと呼ばれ、茶の湯ばかりの能無しで温厚な性格だったのに、あんなに過激な男になったの? その変化が丁寧に描かれていないから 急に別人になって不自然に思えた」
「えっ、もう死んじゃうの? 橋本左内・井伊直弼・徳川斉昭がアッケなく退場したのは残念。この3人が、思想の深いところまできちんと描かれたようにはとうてい思えない。井伊直弼は前回でやっと始動したばかりだし、橋本左内に至ってはモブキャラ(注:その他大勢)ぶり。こうなったら遠からぬうちに暗殺されてしまうけど平岡円四郎はきちんと描き切ってもらいたい。この人、昔の『徳川慶喜』ではモブに近い扱いだったから。でも、美賀君の存在がなかなか面白く見えてきていい。この人はやはり『徳川慶喜』では、たんなる世間知らずのお嬢さまでしかなかったから新鮮に映るよ」
「残念な大河です。脚本家は本ドラマの主な視聴者を、小学校4~5年生に置いているのでしょうか?観る人ごとの解釈に幅広さを産み出す余地のない桜田門外の変でした。映像もストーリーも。江戸幕府末期に無知な小学生相手に解説する、言わば『マンガ日本史』的な 45分。誰にも文句の言われない教科書的な展開。栄一が千代に語る『代官に怒っても仕方がない』『世の中の何を変えればいいんだ?』の長い場面、台詞が長過ぎる。観ている視聴者全員が小学生だと思っているのか? 奥行きも味わいも、そして深い感銘もない。日本の歴史に無知蒙昧な人を対象にした日曜夜の『朝ドラ』としか思えない」