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いつ打ち切りになってもおかしくない聖火リレー!スタッフもヘトヘトで相次ぐ車両事故

大会組織委公式サイトより
大会組織委公式サイトより

   まさに、「呪われた五輪」というしかない大会組織委員会の惨状である。それなのに、自らの組織内の腐敗を省みず、開会式を巡るさまざまな問題を報じてきた週刊文春に対して、橋本聖子組織委会長名で、「週刊文春4月8日号を直ちに回収し、今後の販売を中止せよ」といってきたというのである。

   いうまでもなく、文春側は<小誌に対して、極めて異例の『雑誌の発売中止、回収』を求める組織委員会の姿勢は、税金が投入されている公共性の高い組織のあり方として、異常なものと考えています。小誌は、こうした不当な要求に応じることなく、今後も取材、報道を続けていきます>と公表し、一歩も引くことなく、問題を暴いていくことを高らかに宣言した。

   だが、このことを報じたのは朝日新聞と産経新聞だけで、読売新聞は1日遅れ、毎日新聞、日本経済新聞、NHKは一切報じなかった。産経を除く、朝日、毎日、読売、日経は東京五輪のオフィシャルスポンサーになり、NHKも放映権を獲得しているから、組織委のご機嫌を損なうわけにはいかないのである。

   今週の週刊文春は、五輪に関わる電通や博報堂などの人件費が1人あたり1日30万円以上と高額だと追及している。

   さらに、3月25日から始まった聖火リレーで、3日間で3件もの車両事故が発生しているのに、組織委は公表していないという。事故多発の理由は、<「五輪延期に伴う運営の簡素化で人員が削減されてしまい、一部運営スタッフは3~5人の4班編成という少人数で聖火リレーに同行しています。班によっては日の出時刻に出発し、業務終了が夜10時過ぎになることもある。食事時間もほとんど無いスタッフもいるそうです。事務局からは『各班交替で休みを取るように』と言われていますが、休んだら業務が回りません」(現場スタッフ)>

   聖火リレーではこんなことも起きている。毎日新聞(4月7日付)によれば、<NHKが中継する東京オリンピックの聖火リレーの映像から一時的に音声が消える「異変」があった。4月1日夜、聖火ランナーが長野市内を走っていた時だった。「オリンピックに反対」。沿道で抗議行動をしていた市民の声が一瞬中継に入り込んだ。その直後、中継から音声が消えたのだ。SNS上では、「都合の悪い音声」を消したのではないかとの声が出ている>

   音声が約30秒消えているのだ。組織委に忖度してのことであろう。その組織委は、「IOCの手足になる"イベント屋"との位置づけです」(組織委関係者)。今回の五輪を「復興五輪」と位置付けているが、「このワードはIOCに受け入れられていませんでした」(演出チーム関係者)。JOCはIOCの二次か三次下請けに過ぎないのだ。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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