自民党の「選択的夫婦別姓」検討作業チームが2日(2021年4月)に会合を行った一方、今月初めには「選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会」が行われた。共同呼びかけ人にはDeNAの南場智子会長など名だたる企業の名前が並んでいた。
この3月に結婚したばかりの永島優美アナは「私は『永島』の名で仕事をしているので実感はありませんが、それでも免許証の書き換えや銀行口座などいろいろと書き換えなければならないことがありました」と話した。
自民党内でも推進派と慎重派
番組ではこうした環境下で、ユニークな方法で夫婦の名字を決めたカップルを紹介した。
1組目は、結婚後の名字をネット上のアンケートで決めた石川夫妻。2人は中学・高校の同級生で、結婚したのは2年前。夫の旧姓は田村だった。ネット上で「響きがいいのは田村? 石川?」というアンケートを実施したところ、300人の回答の約7割が「石川」だったため、石川の姓を選ぶことにしたという。妻は「夫に名前を変えてもらうのは申し訳ないという思いはあった」と言い、夫は「名前が変わってがっかりしたということはないが、親が納得するかどうか、不安があった」と告白した。
2組目は、去年9月に結婚した平野夫妻。公平を期すため、ゲームで名字を決めることにしたという。そのゲームとはスマホ用ゲームの「マリオカートツアー」。2勝2敗で迎えた5戦目に、夫が何度もバナナを踏んでスピンを繰り返し妻に軍配。夫は旧姓「本田」を捨て、妻の名字「平野」を選ぶこととなった。夫は「納得してできたし、ゲームも純粋に楽しめた」と話した。
これには永島アナも「面白そう」。MCの谷原章介は「男の名字は変わらないと思い込んでいたが、変わるとなるといろんなことがある」と納得した様子。女優・タレントのトリンドル玲奈は「私は変わった名字、トリンドルなので、できるだけ早く普通の名字になりたい。旦那の名字になる楽しみもあるが、選択できるようになるのはいいこと」と話した。
自民党内でも推進派と慎重派がいる。推進派の岩屋毅・元防衛相は「多様性を包摂する社会にしたい」、慎重派の山谷えり子・元国家公安委員長は「家族の根幹にかかわるものであり、自由の拡大とか選択肢が増えるとか、そういうことではない」と話している。番組が10代から80代の1000人に行ったアンケートでは賛成が69%、反対が31%だった。
教育評論家の尾木直樹は「オリパラ参加の200国の中で日本だけがどちらかの名字を選ばなくてはならない。山谷議員の気持ちもわかるが、岩屋議員の言うように選択できることのほうが今の時代は素敵な方向だと思う」とコメント。
若狭勝弁護士によると、「夫婦同姓」を義務付けているのは先進国で日本だけ、日本で結婚後旧姓に戻すには離婚以外方法がない。そのため、夫婦別姓にするために離婚の準備を進めているカップルもいた。
「別姓にするための離婚準備」が話題に
モデルの牧野紗弥さんは12年前に結婚し、3人の子供を育てながらモデルの仕事を続けている。その牧野さんが今年1月発売の雑誌「VERY」で夫婦別姓にするために離婚の準備を進めていると明かして反響を呼んだ。理由は、「対等な関係の夫婦になりたい」。また、祖母から姉か自分が「平野」の姓をついでほしいと言われたこともあった。夫婦別姓のための離婚を告げられた夫は驚き、当初は受け入れられなかったが、今は納得しているという。
永島アナも3月に結婚した際、「母が電話で、あなたも永島じゃなくなるのね。悲しい」と言われたと話した。
厚生労働省の統計によると、結婚後選択する名字について、「夫の氏」が昭和50(1975)年は98.8%、平成27(2015)年は96.0%だった。牧野さん夫妻のように、「夫婦別姓のための離婚」をした場合に感じるデメリットが2つある。1つは子供の親権を夫か自分か決めなければならないこと、もう1つは遺産相続の権利がなくなること。若狭弁護士によると、子供の親権については、日本では共同親権は認められていないが、「共同親権」導入の議論が進んでおり、遺産相続については、遺言書を作成することで相続が可能だという。
谷原は「牧野さんの旦那さんもよく受け入れたと思う」とコメント。
社会学者の古市憲寿は「夫婦別姓が論理に反する理由は1つもない。外国人と結婚した場合だけ別姓がOKという現状には不公平もある。反対する理由がない限り、それで幸せになる人を増やしてあげればいいだけ」と主張した。
(バルバス)