民放初!の刑事裁判官が主人公の連続ドラマが「月9」に登場だ。原作は、浅見理都の人気コミック「イチケイのカラス」(講談社モーニングKC刊)。原作では『脇役』のメガネをかけた小太りの中年裁判官が、原作者の了解のもと、ドラマでは無精ヒゲを生やしたスリムな裁判官に姿を変えて『主役』に抜擢された。
東京地方裁判所第3支部第1刑事部(通称イチケイ)の刑事裁判官・入間みちお(竹野内豊)は、元弁護士という経歴も異色だが、絶対に冤罪を生むことのないよう自ら現場検証を行い、事件の真相を明らかにしていくという異端の裁判官でもある。
刑事裁判官1人あたり常に250件前後の事件を担当する現状にあって、入間がいるイチケイは、その処理件数の少なさにおいて『会社なら倒産レベル』という惨状だ。そんなイチケイの建て直しに送り込まれてきたのが、東大法学部出身のエリートで、若いながら判事と同様に単独で裁判を行う権限を有する特例判事補・坂間千鶴(黒木華)。坂間は裁判官が的確かつ速やかに事件を処理することで日本の治安が維持されているとの信念の持ち主で、入間とはまさに水と油だ。
傷害事件の審議で、捜査権を発動し現場検証をすると言い出すが...
イチケイの部長で裁判官・駒沢義男(小日向文世)は、さっそく坂間に入間と組むよう指示。大学生・長岡誠(萩原利久)が、衆院議員・江波和義(勝村政信)に全治1カ月のケガを負わせた傷害事件に、入間を裁判長として坂間と駒沢の3人で審議する合議制で取り組むことになった。
検察官は、マイペースで訴訟指揮をとる『入間対策』のために東京地検第3支部に異動してきた井出伊織(山崎育三郎)と、主任検事・城島怜治(升毅)だ。井手は東京地検特捜部からも声がかかるほど優秀な中堅検事。城島と駒沢は司法修習時代の同期という間柄だ。
事件の背景には、江波の秘書だった長岡の父・洋一郎が2カ月前、不正献金疑惑で特捜部がマークし始めた矢先に電車に飛び込んで自殺を図ったという経緯があった。「こんな些細な案件をわざわざ合議制で扱う必要はない」という坂間の見立てはハズれ、裁判は第1回公判から大荒れとなる。長岡は罪状認否で「江波の方から先に殴ってきた」と正当防衛を主張。さらに「父は自殺したのではない」と訴えた。
長岡の懸命さに引っかかるものを感じた入間は、傷害事件の発端となった洋一郎の死の真相を確かめる必要があるとして、裁判長として捜査権を発動し現場検証を行うと言い出したのだった......。(よる9時放送)
寒山