政府は4月1日(2021年)に大阪・兵庫・宮城の3府県に「まん防(まん延防止等重点措置)」を適用することを決めた。これに基づく対象区域は、大阪市、神戸市、西宮市、尼崎市、芦屋市、仙台市の6市。期間は4月5日から5月5日までの31日間で、時短営業となる飲食店には事業規模に応じた協力金が支給される。
大阪府の吉村洋文知事は飲食店への対策として「マスク会食の義務化、アクリル板や消毒液の設置とCO2センサーの導入を義務化する。今後は市内の店舗を1店舗1店舗見て回ることをやっていく」とした。すかいらーくグループではすでにほぼすべての店舗で対面パーテイションが設置されているが、CO2センサーについては「当社では換気ができているので、CO2センサーの導入については今後検討していくこととなる」という。
すでに今年1月からCO2センサーを設置したという大阪新世界の串かつ店では、「CO2センサーがあるということで、換気ができているという安心感がある」と話す。
安ければ5000円程度
設置が義務化されるCO2センサーは安ければ5000円程度から購入できるが、はたしてどの程度の効果があるのか。センサーを開発する電気通信大学の石垣陽特任准教授によると「CO2は吐く息に入っており、CO2にウイルスがあるわけではありません。ウイルスを測る代わりに、CO2を測っているわけです」という。日本産業衛生学会によるとCO2濃度が1500ppm以上になったら換気が必要という指針を出しているが、密閉空間に4人がいる場合で実験すると、およそ15分で換気が十分な濃度に達した。
東京調布市でCO2センサーを設置している居酒屋でモニタリングすると、客が入り始める午後6時半のCO2濃度は658ppm。客足は次第に増えていくが、この日センサーが1000ppmを超えることはなかった。店では「センサーを使い始めてから換気を強化するようになった。CO2濃度を可視化することで換気のタイミングがわかるようになったのが良かった」と話す。
MCの加藤浩次が「CO2センサーの設置はいいことなんですね?」と聞くと、日本感染症学会専門医の佐藤昭裕医師は「換気の時期がわかるのはいいことだと思う。CO2濃度が高くなると頭が回らなくなるため、もともとは学校で導入していたもの」と明かす。
加藤浩次が「気になるのは、数値を見て安心してしまう人が出てきてしまうことが心配」と訴えると、佐藤医師は「CO2センサーは飛沫を見るものではない。飛沫はマスクで防ぐもので、換気の時期を見るセンサーは飛沫防止とは別のこと。会話にはマスクが必要です」と答えた。
食べチョク代表の秋元里奈は「センサーを設置する場所でも数値は変わる。入口は黄信号でも、店の奥は赤かもしれない。あくまで目安と考えることが大切」と指摘。
この日から金曜レギュラーコメンテーターに就任したモデルの土屋アンナは「非接触の体温計も時々34度とか、とんでもない数字が出るときがある。CO2センサーもそういう面はあるはず。数値だけを信じずに、プラスの方向に活用するべき」とコメント。
菊地幸夫弁護士は「気になるのは、CO2センサーの設置というのは店側の努力だということ。客の側もマスクをして頑張らないといけない。ウイルスを持ち込んでいるのは客で、店がウイルスをまき散らしているわけではないのだから」と指摘した。