きょう30日(2021年3月)に放送されたテレビ朝日の朝の情報番組「グッド!モーニング」で、天気予報を担当する気象予報士の依田司氏が、気象庁の新年度予算が20年前と比較して120億円も減額されたことにふれ、「異常気象が多発している。予算が増えていれば、救われた命があったかもしれない」と語気を強めて予算削減に異議を唱えた。通常の放送では、穏やかに気象情報を分かりやすく伝えているが、この日は満開の桜をバックにしながら、厳しい表情で動作を交え、怒りのコメントをした。
異常気象多発している中の減額、20年で120億円にも
同番組の人気の天気予報コーナー「お天気検定」でのこと。この日の検定クイズは「気象庁の来年度の一般会計予算 20年前に比べると?」で、視聴者に示した3択は「増えた」「ほぼ同じ」「減った」だった。
7時40分ごろからの答え合わせは、「減った」が正解。2001年に632億円あった予算が、今年は515億円と、およそ120億円も減額されているとグラフを示した依田氏は「国の予算はここ20年で20兆円以上増えているのに、気象庁の予算は減ってしまうんですね」と説明。
さらに「気象庁の人に確認したら、この予算でも事業などは不自由なく『これでもできます』というんですが、私はそうは思いません」と語気を強めた。
「気象温暖化に伴う気象変動、そして異常気象が多発しております。ここ3年は西日本豪雨、東日本台風、昨年は熊本豪雨がありました。多くの方の命が奪われています。予算が逆に120億円増えていれば、救われた命もあったんではないでしょうか。その辺、必要なところに回してもらいたいですね」と時折、腕を振るなどの動作も交えた。
天気情報を分かりやすく伝える気象予報士は、情報番組では欠かせない存在で、コメントの正確さや、人柄の親しみやすさが売りになっている。コメントも日々の暮らしに合わせる内容がほとんどの中、政府の予算の方針を取り上げ、堂々と自分の考えを主張するのは珍しい。
依田氏の勇気ある発言でテレビ番組における気象予報士の存在が、変容していくきっかけになるかもしれない。
(テレビウォッチ編集部)