NHK大河ドラマ「青天を衝け」第7話が3月28日(2021年)に放送され、ついに栄一(吉沢亮)は千代(橋本愛)に愛を告白。一方、江戸では老中・阿部(大谷亮平)が亡くなり幕府は大混乱、後に大老になる井伊直弼(岸谷五朗)が登場した。
しかし、ネット上では「千代との恋バナが長すぎる」「退屈してきた」「早く進行して欲しい」という不満の声が多く上がっている。
バカ将軍家定「(お菓子)いいか?」は「井伊か」のダジャレ
物語は、阿部正弘(大谷亮平)の代わりに堀田正睦(佐戸井けん太)が中心となった幕府はハリスと会うことになる。開国に反対する徳川斉昭(竹中直人)は激怒、朝廷に手紙を出す。徳川慶喜(草彅剛)は斉昭に「父上のしていることは本当の忠義ではない」といさめる。幕府内では次期将軍に慶喜を推す動きが始まる。慶喜嫌いの将軍・家定(渡辺大知)の前に井伊直弼が現れる。
一方、江戸に出た長七郎(満島真之介)からの手紙が届く。手紙には「栄一(橋本愛)は千代と結婚するものと思っていた」というエールが込められていた。栄一は惇忠(田辺誠一)と藍売りの旅に出る。漢詞を詠みながら山登りをした。そして山頂から見た景色を見て栄一は千代と一緒になる覚悟を決める。村に戻った栄一は千代のいる境内に向かい、「俺は、俺はお前が欲しいだに」と愛を告白するのだった。...という展開だった。
ネット上では、まず「青天を衝く」というタイトルが、山登りの時に栄一が作った漢詩からきていることに驚きの声があがった。
「『青天を衝く』というタイトルが、栄一が詠んだ漢詩からとったものだったとは。山に登っていく場面。そして頂上で絶景が開けて、手をかざす場面。印象的で良かったぜ。今後の栄一の活躍を暗示している気がした。家定のウツケぶりも井伊直弼とのやり取りに凄みを感じたよ。家定が茶菓子を井伊直弼の口に突っ込むと、直弼が『申し分ありません』と答えたが、『いいか?』と尋ねたのはダジャレなの? 篤姫の『あちゃ~』も茶目っ気があってよかったよ」
漢詩を詠む栄一と、現代詩の堤清二に通じる財界人魂
「なるほど、この大河ドラマの『青天を衝け』というタイトルは、青年時代の渋沢栄一さんが読んだ漢詩から取ったのですね。なかなか奥が深いというか...。そして、このドラマのお話は、栄一くんと慶喜さんのエピソードを凄く小気味よく交互に描いていて、非常におもしろいと思います。何か、朝ドラのようなスピード感があって、まったく見飽きないですね。それどころか、かなり惹き込まれてしまいます。やはり、今までの大河ドラマ以上に、これからのお話の展開が、非常に気になる大河ドラマになってきましたね!!」
「晴れ晴れとした芭蕉のように詩を読みながら旅をする栄一の見る景色は日本の自然の美しさや雄大さを生き生きと映し出し、メリケンに今かと開国を迫られる慌しい幕府の情景とは対照的に描かれていた。岩場を遮るものなく登っていく時に感じた『青天を衝く』という心象風景が栄一の人生を貫き、日本の発展に寄与したのかと思い、とても感動した。漢詩を石碑に残した人々も同じ気持ちだったのではないだろうか」
「漢詩を作りながら旅をするのは、西武グループの堤清二さんを思い出した。パルコ文化を作ったり、無印良品を作ったり、革新的な経済人だが、同時に詩人で現代詩を作っていた。経済人が詩をつくるのはビジネスのヒントになるのではないか。堤さんは大量消費文化を批判していたが、渋沢栄一が今生きていたらどうだろうかと思った」
「それにつけても江戸時代の文化水準は高い。庶民が漢詩を読み(平仄とか難しそう)、算額で高等数学を嗜み、尊王攘夷も巷間で語られていた。その他、天文学、化学、砲術(全部が実学。机上の空論じゃない!)。 明治のジャンプアップは江戸中期から幕末にかけての人々の勉学心、向上心の素地があったからだね。このドラマ、それが描けていて、調べたら勉強になる」
千代の恋話がスローペース、後妻と3人の愛人はどうなる?
「ロケの大地の緑と空の青が心地好い。栄一が志に目覚めた山頂シーン良かった。江戸パートでは家定役の渡辺大知がバカ殿ぶりを怪演。岸谷五朗の井伊直弼も将軍の腰巾着で如何にも曲者らしく、適役だ。でも、神社での告白シーンで『お前が欲しい』という栄一のセリフはどーかな? あの時代で深谷辺りだったら『好きだあー』くらいが自然かと思う。お千代の『へぇ~』に和んだ」
「上白石萌音さん演じる篤君。不思議な存在感でした。もしかしたら化けるかな。期待大であります」
一方、物語がスローペースすぎるという不満の声が多い。
「来週もまた千代との恋話なのですね。一方、幕府の方もお世継ぎ話と、身内の話ばかり続く。しかし、来週はもう安政の大獄。話がぶつ切りで、もう少し見たいと思うと 画面が切り替わってしまって、話についていきづらい。このスローペースだと、明治は秋以降でしょうか。慶喜で引っ張りたいようだし。あるいは、幕末の事件はさわりだけで、どんどん飛ばしていくのかな?」
「千代とくっつく、くっつかないが長いね。朝ドラではないのだから早く進めて欲しい。渋沢栄一には千代の後に2番目の妻の兼子がいるし、お妾さんが3人もいた。恋バナをひとり一人やっていたら大変なことになるよ」
いつ面白くなるか我慢しているが、埼玉の田舎にも飽きてきた
「いつ面白くなるかとひたすら我慢してきたが、7話も辛かった。易しい解説付きで、易しい言葉づかいの、観る者すべてに易しい歴史ドラマなのだが... 刺さらない。吉沢亮はキレイな顔をしているし、キレイにまとめた芝居をするが、えぐってもこない。面白味が今のところ、ない。どこかで見た、聞いた、そんな台詞が延々と続いている。オープニングを見ていると、つまらなかった『花燃ゆ』を思い出して背筋が凍る」
「毎回、毎回の埼玉の田舎風景に飽きてきた。お金かけて村を作ったのは素晴らしいが、もっとダイナミックな話を期待します。正直、今のところ栄一編は退屈だ。慶喜編は楽しめる。慶喜編をもっとキッチリ丁寧にやってほしい。しかし、栄一が主役のドラマだもの。渋沢栄一という人物に興味を持っているから、慶喜編で誤魔化しながら気長に待つしかないか」
最後にこんな声を紹介したい。
「江戸パートはともかく、栄一パートのほうは、実にゆったりと時間が流れている。贅沢なくらいに栄一本人はもちろん、その家族や仲間たちの生活が描かれている。画期的な展開だし、これでいい。大河史上で、おそらく初めて『百姓』を主人公とした。従来の幕末ものとは明らかに一線を画している。江戸から遠く離れた地で生きる『百姓』が、幕末動乱の時代に、少しずつ少しずつ自分の知見を広げ、志を大きくしていくさまが実に新鮮だよ。ただ、こんなテンポで進んだら、栄一の晩年までは描けないだろうね。私は、ドラマの脚本家もスタッフも、ハナから栄一の晩年まで取り上げようとは思っていないのだと見ている」(テレビウォッチ編集部)