漢詩を詠む栄一と、現代詩の堤清二に通じる財界人魂
「なるほど、この大河ドラマの『青天を衝け』というタイトルは、青年時代の渋沢栄一さんが読んだ漢詩から取ったのですね。なかなか奥が深いというか...。そして、このドラマのお話は、栄一くんと慶喜さんのエピソードを凄く小気味よく交互に描いていて、非常におもしろいと思います。何か、朝ドラのようなスピード感があって、まったく見飽きないですね。それどころか、かなり惹き込まれてしまいます。やはり、今までの大河ドラマ以上に、これからのお話の展開が、非常に気になる大河ドラマになってきましたね!!」
「晴れ晴れとした芭蕉のように詩を読みながら旅をする栄一の見る景色は日本の自然の美しさや雄大さを生き生きと映し出し、メリケンに今かと開国を迫られる慌しい幕府の情景とは対照的に描かれていた。岩場を遮るものなく登っていく時に感じた『青天を衝く』という心象風景が栄一の人生を貫き、日本の発展に寄与したのかと思い、とても感動した。漢詩を石碑に残した人々も同じ気持ちだったのではないだろうか」
「漢詩を作りながら旅をするのは、西武グループの堤清二さんを思い出した。パルコ文化を作ったり、無印良品を作ったり、革新的な経済人だが、同時に詩人で現代詩を作っていた。経済人が詩をつくるのはビジネスのヒントになるのではないか。堤さんは大量消費文化を批判していたが、渋沢栄一が今生きていたらどうだろうかと思った」
「それにつけても江戸時代の文化水準は高い。庶民が漢詩を読み(平仄とか難しそう)、算額で高等数学を嗜み、尊王攘夷も巷間で語られていた。その他、天文学、化学、砲術(全部が実学。机上の空論じゃない!)。 明治のジャンプアップは江戸中期から幕末にかけての人々の勉学心、向上心の素地があったからだね。このドラマ、それが描けていて、調べたら勉強になる」