春の番組改編で情報番組のキャスターやコメンテーターの入れ替わりが相次ぐ中、テレビ朝日「グッドモーニング」(月~金朝4時55分~8時00分)の名物コーナー「池上彰のニュース検定」が、26日(2021年3月)放送の回で、最終回となった。
ジャーナリストの池上氏は、NHK勤務時代の「週刊子どもニュース」で培った分かりやすい解説で、テレビ朝日「そうだったのか!池上彰の学べるニュース」をはじめ、テレビ各局でレギュラー・準レギュラー番組を多数抱えている。
だが、昨年(2020年)8月に70歳となり、それを契機に仕事量を減らしているようだ。26日付の朝日新聞の連載コラム「池上彰の新聞ななめ読み」もこの日で最終回となり、「私自身が70歳を超え、仕事量を減らす一環としての決断です」と、14年続いたコラムを終わる理由を書いている。
「ニュース検定」は前身の「ニュース知恵袋」(2015年10月)を引き継いだコーナーで、番組の終了間際の7時50分から4、5分で、時事問題を分かりやすく取り上げていた。視聴者に3択のクイズを出し、正解者にポイントを付与する「検定」スタイルが好評だった。
現在は「人新世」、「人類の経済活動により大変化が起きている」
最終回となった26日は「地球が誕生してからおよそ何年?」というクイズだった。正解は「46億年」で、コーナーの最後にあたり、視聴者に地球の歴史と人類の未来という壮大なテーマを考えてもらおうとの意図だ。
池上氏は地球の歴史について、生物がいなかった先カンブリア時代から古生代、中生代を経て、現在の新生代という地質学会の定説を解説。さらに、より細かく分類して、現在は「人新世(ひとしんせい・じんしんせい)」という時代に入っているとの新しい学説を紹介した。人類の経済活動により、人工物や放射性物質が蓄積、さらに二酸化炭素も飛躍的に増え、地質学的にも大変化が起きている時代を指している。
資本主義という経済効率を求める社会ではなく、新しい価値観による経済システムが必要だと問題提起する哲学者・斎藤幸平氏の「人新世の『資本論』」も紹介した。
これらの説明の後、池上氏はこのコーナーが最終回になることを伝え、「世界は大きく動いています。私たちはよりよい社会を残していけるのか。そのために何ができるのか。それが私からみなさんへの宿題としての問いかけです」と締めくくった。池上氏ならでは終わり方に視聴者はなにを感じただろうか。 (TVウォッチ編集部)