一族の面倒を見る菅首相の"家族愛"の深さ、長男に株を贈与した訳 「森会長はボケているから」と五輪人事仕切る電通幹部

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東京五輪は"特命"案件

   さて、東京五輪の開会式で、渡辺直美を豚に見立てようという案を出したことを文春に報じられ、電通出身のCMクリエイター佐々木宏が謝罪して辞任した。

   だが文春によると、諸悪の根源は佐々木と電通同期で、MIKIKOの排除を主導した高田佳夫電通代表取締役(66)で、彼がいる限り組織委の体質は変わらないと報じている。

   電通社長の五十嵐博が高田より5つ年下なのに、なぜ高田が代表権を持っているのかというと、東京五輪が「余人をもって代え難い"特命"案件だから」(組織委幹部)だそうである。

   高田は森喜朗と同じ六本木の超高級マンションに住み、家族ぐるみの付き合いだそうだ。

   元電通専務で組織委の高橋治之にいわせると、五輪が電通の収益に貢献するのは間違いなく、売上高の1割は超えると見ている。

   したがって演出チームにも厳しい縛りをかけているという。「すべての商流は電通から」「他広告代理店系のスタッフはNG」というように。

   社命を背負っている高田は、次第に、現場を管理・監督するようになり、MIKIKOを排除し、佐々木を全面に出していく。

   昨年11月、彼女は辞表を提出することになるのだが、その前の10月16日に、自らに降りかかった出来事を克明に記したメールを電通幹部に送っていたそうだ。

   そこには、「高田さんより、『今までの労いと共に、佐々木さん体制の報告を会長の口から受ける』と伺ってトリトンに出向く」とある。

   そこで森会長はこう告げたという。「引き続き、オリ開会式はMIKIKOさんにお願いしたい」。佐々木体制への変更を覆すような発言をしたというのである。

   同席していた高田は、訝る彼女を別室に連れて行って驚くべき発言をした。

   「森会長はボケているから、今の話は事実と違うから」と、佐々木体制で行くと念押しされたそうだ。

   電通幹部の説明だと、森会長はMIKIKOの能力そのものは買っていた。だが高田は、佐々木ならば意のままに動かせるし、電通の利益にも適うから、森発言をなかったことにする必要があったというのである。

   今朝(3月25日)から聖火リレーが始まった。何としてでも東京五輪を開催したい菅首相と、五輪を食い物にして儲けようという電通の"利害"が一致した、汚れた祭典が走り出した。

   だが、聖火ランナーが後ろを振り返っても、そこに国民や選手たちの姿はない。たとえ開催したとしても、後々まで、「コロナを克服できなかった五輪」として世界中に記憶されることになるはずだ。(文中敬称略)

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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