何やら『隠し球』が用意されている気配も...
とはいえ、全8話の起承転結で言えば、「起」から「承」に移ろうというところで、評価を下すのは早計かもしれない。「お楽しみはこれからだ」という番組関係者の声も聞こえてきそうだ。
実際、押井と横出の予定調和的なクサいやり取りも、何とかの干物と同じで、慣れてくればそれなりに楽しめるから不思議だ。
本家ドイルの小説にはないキャラクター、真面目すぎる新人刑事・美良山来海(白石聖)が、最後の最後にダメな先輩たちを差し置いて、鋭い推理でズバリと事件を解決していまうというオチは、意外性があって面白い。だが、毎回同じオチだと見透かされ、飽きられてしまいそうだ。
また、食品会社のワンマン会長が殺された第1話で、脚の骨折を偽装するなど怪しい匂いをプンプンさせていた会長付き運転手・芳川明(武田真治)が、第2話にもチラリと登場し、21日放送の第3話以降、全体のストーリーの展開に本格的に関わってきそうなのも気になるところだ。
ホームズをして「犯罪界のナポレオン」と言わしめた天才的犯罪者モリアーティ教授のように、押井の前に立ちふさがる羽堂亜郎という謎の男も登場するそうだが、それが芳川だったりして......。もしかしたら、第2話で押井にネクタイピンをプレゼントした風変わりな女子大生・嶋ありさ(萩原みのり)が、ホームズを知能と美貌で翻弄するアイリン・アドラー?......と言った具合に、何やら『隠し球』がいくつか用意されていそうな気配もある。
ちなみに、第1話のサブタイトル「残念な男の帰還」は本家のタイトル「シャーロック・ホームズの帰還」、第2話「女子寮の醜聞」は「ボヘミアの醜聞」、第3話「三人の小学生」は「三人ガリデブ」をもじったものだが、内容は原作とは関係なさそうだ。
ともあれ、ホームズもポワロも同じぐらい好きな視聴者として、番組自体が『惜しいドラマ』とならないよう、今後の『大化け』を期待したい。(毎週日曜よる10時~)
寒山