モノの気持ちがわからなくなったモコミは自立に道に
「あるあるな登場人物たち。今クールは、軒並みこの時間帯の小作品がイイですね。某局の朝ドラよりもよく出来ているし、何より面白い。お兄ちゃん、子供の時から『お兄ちゃんなんだから』ともろもろ我慢していたのでしょう。言いたい事があっても呑み込んでしまう性格に説得力があります。佑矢との会話が伏線となっています。彼の言うことはある意味正論だけど、誰もがそうは生きられない。礼儀正しく話してはいたが、夢だけで生意気にも一般的な大人の価値観をバッサリ否定していた。お兄ちゃんがイラッとして当然。その辺のバランスを丁寧に作っているのを感じます」
ところで、「お兄ちゃんの反乱」はあっというまに終わった。
「お兄ちゃんの反乱あれで終わり? ちょっと家出して、店は仕切り屋の女とモコミでどうにかして、家族はそっとしておこうって。店に戻り、仕切り屋女とも長年の鬱積があれ解消する?なんじゃそれ」
「お爺ちゃんのあっけらかんとして、ドライなセリフのひとつひとつが印象的だ。『俺は中途半端なんだ』と、お兄ちゃんが自宅に戻り、不貞腐れながら叫んだ時、両親もモコミも『そんなことない』と応対していたが、お爺ちゃんだけは違った。『そうだよ!中途半端なんだよ!』。家族がさっと顔色を変え、兄も顔を歪めたが、お爺ちゃん本音をぶつけた。その言葉の後に続いた言葉は、見せ掛けの愛情とは異なる、血の通ったホンモノだった!」
「家を出よう!兄が正直に自分を出せるようになった。子供は反抗期や親との葛藤がないと成長できない。優しさと依存しあうぬるま湯で育ってきた人たちにはケンカの経験がない。それが兄とモコミの実態だった。甘えあっていれば、人の痛みもわからない。モコミの家族にはそういった未来の家族のあり方のメッセージが読み取れる。みんな自立して生きていこう。傷ついてこそ一人で生きていこうと思える勇気がわいてくる。モコミにはそれが一番大切なこと。花の声もトミーの声も聞こえなくなったラストはどういう意味なのか?」