"孫正義憎し"で意気投合している菅首相とNTT社長
そんな澤田を買っているのが菅だという。「菅さんと澤田さんはソフトバンクの"孫正義憎し"で意気投合している」(双方を知る財界人)。谷脇も、通信分野の競争政策をライフワークにしており、澤田とは10年来の付き合いだそうだ。
携帯電話の料金をどこまで下げられるのか、NTT側の腹を探りたい谷脇、バーターでドコモを完全子会社化したい澤田との利害が一致したということのようだ。
元東京地検特捜部検事の若狭勝弁護士は、「政務三役として職務権限を持つ者が接待を受け、その席で職務権限に絡む話が出ていれば、何も請託(お願い事)がなくても単純収賄罪に該当する可能性があります」といっている。
元社長の鵜浦博夫は文春に対して、「俺、別にあんなんで何かモノ頼むとかしない!」と憤っているが、「あんた方が、あんなデータをどっから取ってくるのかのほうに不信感がある」と語っている。
鵜浦がいいたいのは不信感ではなく、文春の取材力への驚きと、誰が通報者なのかを知りたいということだろう。反澤田の人間であることは分かるが、単独なのか複数なのか。どのレベルの人間なのか。
文春が誌面で公開している接待当日の「会計情報」には、2018/09/20(木)18:30~22:30 3名とあり、和食コース 単価¥12,000。別の日には赤ワイン ¥135,000とある。両日ともに接待相手は谷脇だが、赤ワインがキスラーのピノ・ノワールと書いてあるわけではない。
高市大臣(当時)の時には、「辛いものやメロンがNG」だと事務所から事前連絡があったと書いている。接待日と相手を知り得る人間、接待のメニューが何であったのかを知り得る人間、谷脇が5000円の領収書をもらったことを知り得る人間は誰かと推理すれば、複数の人間がいると考えるのが合理的であろう。
文春によれば、澤田は菅と親しく、26年まで社長の座に居続けることを画策しているというから、それに反対している勢力があると考えても無理はない。
NTT幹部たちによる総務省官僚接待疑惑は、NTTという巨大な企業の内部抗争へと広がりそうな予感がする。