文春、新潮が東日本大震災から今日で10年の特集 「復興五輪」とぬかすのは100年早い! 「文春砲」がNTTから野田聖子、高市早苗・元総務相へのズブズブ高額接待を詳報...チクった「犯人」は誰だ?

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   東日本大震災から今日で10年。週刊誌も文春が「今だから書ける『週刊文春』記者の3・11」、新潮が「喪失を越え『大震災』10年の人間ドラマ」をやっている。

   様々なメディアが流す情報の中で、心に留まったのは、「多くの人が津波で亡くなったのに、大震災では津波の恐ろしさが伝わらない」という言葉。同感である。これでは原発事故の悲惨さも伝わらない。「大東亜戦争」を「太平洋戦争」というようなものである。

   NHKスペシャル「徹底検証 "除染マネー"」が出色だった。大手ゼネコンと下請けが、5兆円を超える除染マネーを私している実態を暴いていた。

   「自分は一番安全な場所にいて、撮影していた」。津波が街をのみこむ衝撃的な映像をヘリから生中継した、NHK福島放送局のカメラマン・鉾井喬の言葉である(HUFFPOST 3/10(水) 6:07配信より)。

   震災発生から2年後、彼はNHKを辞める。2016年に震災後の福島をテーマに、桜とそこに集う人々を見つめたドキュメンタリー「福島桜紀行」を発表する。

   鉾井は10年経った今こう語る。「撮らないで済むなら、撮りたくなかった」。「復興五輪」などとぬかすのは100年早い。

   阪神淡路大震災、東日本大震災と原発事故、そして世界的なコロナ感染爆発と、地球を支配したと驕る人類たちに自然が憤り、滅亡させようと追い詰めている。

   『人新世の資本論』(集英社新書)で斎藤幸平が喝破しているように、「SDGs(持続可能な開発目標)はアリバイ作りのようなものであり、目下の危機から目を背けさせる効果しかない」のだ。

   首都直下型地震は明日にでも起きる。間に合わないかも知れないが、全原発を止め、首都機能を移転・分散させ、東京の人口を3分の1にすることで、日本が「全沈没」するのを避ける方策を即刻とるべきである。

文春砲の勢いは衰えず

   さて、文春砲の勢いは衰えない。山田真貴子広報官が東北新社から超高額な接待を受けていたことを報じて首にし、返す刀で、谷脇康彦総務審議官も同様だったと飲食接待の詳細を公表した。

   谷脇を事務次官にしたい菅首相は、事務次官級の総務審議官のままにしておいたが、文春は、NTTの元社長の鵜浦博夫からも高額な接待を受けていたことを報じたため、3月8日付で官房付へと更迭されてしまった。

   そのため谷脇は今月末で定年退職になる。退職金は6000万円になるといわれるが、ペナルティを科せられて減額されるのではないか。まるで藤井聡太二冠の将棋を見ているような文春の詰めの鋭さである。

   今週は、総務大臣在職中の野田聖子が2回、高市早苗が2回、菅の右腕の山口俊一副大臣が10回、総務政務三役は41回も、NTT側から高額な接待を受けていたと報じている。

   文春によれば、総務省政務三役への接待を時系列で並べて見ると、15年から17年までの3年間は10回だが、18年から20年までの3年間では26回と、ハイペースで接待が行われていたそうだ。

   18年は、菅官房長官(当時)が携帯電話料金を4割下げる余地があるとぶち上げ、通信業界に激震が走った年だったから、NTT側が情報集めを急いだのではないか。

   深田純社長は、菅政権発足直後に、収益第3位のドコモを強くすると啖呵を切り、11月17日には約4・2兆円を投じてTOBを成し遂げ、12月3日には格安料金プラン「アハモ」を発表、25日にはドコモの上場を廃止して子会社化を完遂と、矢継ぎ早に手を打っていくのである。

   経済部記者は、そうした時期に接待が増えたのは、「ドコモの子会社化に向け、政治家や官僚に対する地ならしの意味があったのでしょう」と推測している。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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