長瀬智也主演×宮藤官九郎脚本。TBSドラマでこのコンビといえば、これまで「池袋ウエストゲートパーク」「タイガー&ドラゴン」「うぬぼれ刑事」の3作を世に送り出しており、どれもドラマ好きにはたまらない魅力溢れるドラマだ。今回はそれに続く4作目で11年ぶり。これに映画「真夜中の弥次さん喜多さん」(2005年公開)、「TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ」(2016年公開)の2作を加えて、長瀬×クドカン6作目のタッグとなる。
長瀬が演じるのは、ブリザード寿というリングネームを持つ現役プロレスラーの観山寿一(みやま・じゅいち)。実は、観山流宗家の長男として生まれ、4歳の時に初舞台に上がり神童と呼ばれるも、父に反発し、17歳で家出し、プロレスラーに。一時は人気レスラーとして活躍するも、大けがをし、現在は、新団体「さんたまプロレス」に所属。そんな寿一のところへ、父(西田敏行)が倒れたと連絡がきて、25年ぶりに実家に戻ったところから物語が始まる。
家族ならではのぶつかり合い、絶妙な2人のやりとり
寿一の父で、人間国宝・二十七世観山流宗家を演じるのは西田敏行。「タイガー&ドラゴン」で落語家の師匠と弟子を演じた2人が今度は親子で共演。2人のやりとりは、家族ならではのぶつかり合いや、素直になれない感じが絶妙だ。ほかに、寿一の妹・舞を江口のりこ、弟・踊介を永山絢斗、芸養子・寿限無を桐谷健太、寿三郎の介護ヘルパーで婚約者の志田さくらを戸田恵梨香が演じ、そのほか、荒川良々、平岩紙、三宅弘城と「大人計画」の個性あふれる俳優らも多数出演。第6話では、純烈を思わせる「潤沢」というグループのリーダー役で阿部サダヲも登場。劇中で歌った新曲「秘すれば花」が、作詞なかにし礼 作曲筒美京平と書いてあると思ってよく見たら、なかにし札と筒美洋平だったという小ネタも含めて、笑いどころも満載。この歌が意外(⁉)にも良くできていて、本家「純烈」がもらい受けて、持ち歌にして欲しいレベル。
介護をテーマにしながらも、決して深刻ぶらず、泣けて笑えるドラマになっているのはさすがだ。
長瀬はこの3月でジャニーズ事務所を退所し、以後、「裏方としてゼロから新しい仕事の形を作り上げていく」と公表していることから、これで見納めになるかもしれないと思いながら、毎回、愛おしむような気持ちで見ている。
それにしても、長瀬はいい役者だ。上手下手ではなく、とにかく華がある。余人をもって代えがたし俳優なのに、表舞台から消えてしまうのは本当に残念だ。(毎週金曜22時~)
くろうさぎ