福原愛「おしどり夫婦」崩壊の"藪の中" 文春と女性セブンが正反対の視点から報道...夫のモラハラか妻の不倫か?

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   "泣き虫愛ちゃん"として親しまれた元卓球選手・福原愛もはや32歳。彼女が台湾の卓球選手・江宏傑(ジャン・ホンジェ=32歳)と国際結婚したのは2017年元旦だった。

   その後、2人の子どもを授かり、台湾では「おしどり夫婦」といわれていることは、日本でも報じられた。

   その"至上の愛"が壊れかけていると、今週の文春と女性セブンが報じている。だが、文春は「夫のモラハラとモンスター家族に嫌気がさして愛が離婚する」、一方のセブンは「台湾に子供を残して里帰り中に不倫している愛」と"視点"が正反対なのである。

   夫婦間の問題だから、どちらが正しいということはないが、読んでいると頭が混乱してくる。

   文春に情報を流しているのは福原愛本人か、極めて彼女と親しい人間であろう。

   冒頭、元旦に帰国した愛が1月中旬、日本語と繁体字2枚の「離婚届」を書くシーンから始まる。書き終えた愛は、台湾にいる夫に電話をかけ、離婚の意志を告げる。

   3歳でラケットを握り、11歳で日本代表になり、五輪には4回出場した。江はリオ五輪にチャイニーズタイペイ代表として出場しているが、世界ランキングは79位、愛のほうは9位だった。

   2014年に愛が腰痛で長期休養を余儀なくされた時、江がSNSで励まし交際が始まった。江の「愛のやりたいことは僕が全力で応援する」という言葉にほだされ、結婚を決意。

   ディズニーリゾートで盛大な披露宴を挙げた2人は、台湾の番組に出演して夫と「64回キスをする」姿を公開するなど、彼の地のスター夫婦になっていく。

   夫・江の家は名家だといわれていたが、実際は違ったそうだ。結婚会見で卓球ボールをイメージしたダイヤの指輪が披露され、3000万円といわれて話題になったが、江の義姉が中国の宝飾メーカーから、「プレゼントするから宣伝のために会見で付けてほしい」と頼まれたものだったそうだ。

   文春によれば、17年10月に愛は第一子を孕むが、つわりが酷く、日に何回も吐いていた時、愛を「栄養がいかない」(お腹の子どもに栄養がいかないという意味か)と叱り、一段落して食べられるようになると、「太るからやめろ」と迫ったという。

   育児でも「悪戦苦闘の毎日だ。紙オムツを洗濯機に入れるミスをしたこともあった」(これは本人でないと語れない内容だろう)という。

   だが夫の小言は止まらず、家事を手伝うこともなかったようだ。妻が育児に奮戦しているのを知りながら、夫は、沖縄に本拠地を置く「琉球アスティーダ」に2年契約で加入してしまう。

   だが、練習をサボり、成績不振で試合にも出られなかったという。妻の愛は、卓球と子育ての両立が難しく、18年10月に現役を引退した。

   家庭ではたび重なるモラハラを受けながら、世間に対しては「夫婦円満」アピールを強要させる。歯医者へ行けば、「誘うような口の開け方をして。この売女!」と罵られ、エッセイ写真集の写真を篠山紀信に撮ってもらうと、「何でヌードを撮るような人に撮らせるんだ」と怒鳴り散らす。

   その上、夫婦のプライバシーをメディアに話してしまう義姉や、義母との折り合いも悪く、愛は「ここに私の居場所は、もうない」と思うに至る。

   19年のクリスマスに2人の子どもを連れて帰国した。夫が追いかけてきて、「やり直したい」と謝罪したため、「次はない」と通告して戻ったが、同じようなことが繰り返されたため、今年の元旦に帰国し、離婚することを決意したというのである。

   今年の2月18日に放映された『徹子の部屋』で愛が、「これからちょっと拠点を日本に移していこうかなというふうに」と答えたところから一気に不仲説が広がっていった。

大谷翔平似のイケメンと連泊

   次にセブン。2月下旬だというから、離婚を夫の江に伝え、『徹子の部屋』が放映された直後になるのだろう。愛と彼女より25センチも高い、大谷翔平似のイケメンと一緒に、横浜中華街でシュウマイやソフトクリームを仲良く食べているところを「スクープ撮」されたのである。

   この男性、都内の一流企業に勤めるエリート会社員だそうだ。愛が結婚する前からの仲で、彼女の仕事の悩みなどを聞いてくれた「彼女にとって特別な存在」(福原愛の知人)。

   「一度ゆっくり横浜を歩いてみたい」という愛の希望を受け入れ、「彼女をエスコートするためにカーシェアリングで高級車を借り、(中略)夜景のきれいなホテルまで彼がしっかりと予約していたようですよ」(男性の知人)。

   その夜は2人してホテルに泊まり、翌日は愛の自宅に招き入れ、過ごしたという。

   セブンは、「本人は否定するが、Aさんと連泊したことは紛れもない事実。ふたりがたとえ友人関係だったとしても、異国で彼女を待つ夫や子供に対しての"裏切り"ではないだろうか」と愛の行動を難じ、台湾で離婚説が出ても、夫は「自分たちがわかっていればそれでいいと思います」と答えていると、やや夫側に同情的である。

   セブンを読む限り、愛が「離婚届」を書き、夫に離婚の意志を伝えたことは、記事を書いた時点では知らなかったようだ。もちろん、文春のいう通り離婚寸前だったとしても「不倫」であることは間違いないから、彼女の行為は責められても仕方ないが、見え方がやや違ってくるのではないか。

   この福原愛の記事を読みながらこう考えた。国際結婚って難しい。私の友人で、イギリス男性と日本人女性のカップルがいる。男性のほうはしばらく前に亡くなってしまったが、彼が生きている時、彼女が私にこういったことがあった。

   「彼は日本語を覚えないから、私の英語で、どこまで心が通じ合っているのか、時々不安になるの」

   若いうちは言葉の問題など考えずに生活できても、年を取ってくると、微妙なニュアンスの違いがわからないと、通じ合えないことが増えてくるのかもしれない。私の家では「おい」「あれ」「それ」でみんな通じるが、そうはいかないのだろう。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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