25年前のハワイ以来となったスパリゾートハワイアンズへの観山家の家族旅行は、大成功のうちに終わった。
過去に不義理をした女性たちへの 『最後の謝罪行脚』を果たした能楽の人間国宝にして第27世観山流宗家・観山寿三郎(西田敏行)は、帰宅後すぐに張り切ってリハビリを開始した。脳血管性認知症を克服して再び能舞台に立つためだ。
ラーメン店4店舗を経営する自称ラッパーO.S.D(秋山竜次)と結婚した長女・舞(江口のりこ)と弁護士の次男・踊介(永山絢斗)は、どちらもいそがしくなったため寿三郎の介護はリモートに切り替えた。稽古場では腹違いの兄弟で寿三郎の一番弟子・寿限無(桐谷健太)が、体験入門の弟子たちの稽古をつけるという日々が続いていた。
そんな中、一人暇を持て余していた長男・寿一(長瀬智也)の元に、寿三郎の介護ヘルパー・志田さくら(戸田恵梨香)がやってくる。さくらは、転倒して気を失ったときに『山賊だっこ』されたことから力強い寿一に惹かれ、「好き」と告白していた。『まだらボケ』の症状が出たときはさくらを自分の婚約者だと思っている寿三郎や、さくらが自分を好きだと勘違いして舞い上がっている踊介との間で悩む寿一は、さくらから返事を催促されて立ち往生する。
秀生は祖父と能の稽古ができなくなり、発達障害が再発する
さらに、寿一は別の悩みも抱えていた。一人息子・秀生(羽村仁成)の親権を巡り、元妻・ユカ(平岩紙)が親権者変更を申し立て、調停が行われようとしていたのだ。調停の当日、慣れないスーツ姿で踊介が経営するミヤマ法律事務所へと赴いた寿一は、ユカの質問に「将来なんて知らねえし」と投げやりな態度をとってしまった。ユカは寿一の無責任な態度に激怒し、「もう秀生には会わんとって。能の稽古もやめさせます」と宣告する。孫の秀生が稽古に来なくなった寿三郎は「どうして秀生は来ないんですか?」と寂しがる。
そして、秀生に稽古をつけるという張り合いを失った寿三郎はある日、「能の面が盗まれた。警察に通報しなさい」と騒ぎを起こす。実は、その面は以前に寿三郎がさくらに与えていたのだった。寿三郎の認知症が進行していることにショックを受けた舞は「ちょっと来ない間にまた進行してんじゃん」と怒りだす。
一方、大好きな祖父・寿三郎と能の稽古ができなくなった秀生は、発達障害が再発。フリースクールの教室で授業中に「能をしたい」と何度も叫んで大暴れする。
そんな寿三郎と秀生のために、寿一はユカに「せめて親父が死ぬまでは稽古を続けさせてやってください」と土下座して頼むのだが......。(よる10時放送)
寒山